「Hermes Agent 使い方」で検索してこのページに来た人がまず知りたいのは、Nous Research製の自己改善型AIエージェントを実際にどう起動し、Telegram・Discord・Slackからどう操作するかだろう。本ガイドは2026年7月28日時点のリポジトリ最新版(★221,670・フォーク42,367・MITライセンス)を基に、対応プラットフォームが最古のタグ付きリリース時点の7種から20種以上へ拡大した点まで含めて整理する。
・Nous Research製・MITライセンスの自己改善型AIエージェント。タスク完了ごとにスキルを自動生成し、使うほど精度が上がる
・CLIに加えTelegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・Emailなど20以上のプラットフォームを単一ゲートウェイで統合
・Nous Portal・OpenRouter・OpenAI・Anthropic・Ollama/vLLM等のローカルLLMまで
hermes modelコマンドで自由に切替・2026年7月時点でネイティブWindows対応済み(旧情報のWSL2必須は解消)。新機能
/learnで任意の作業をスキル化できる
この記事ではAIエージェントに特化して解説します。AIエージェント全般は AIエージェントフレームワーク比較2026|LangGraph・CrewAI・Dify等9種をStar数・実コードで検証 をご覧ください。
Hermes Agent 使い方の基本:自己改善する学習ループと/learnコマンド
Nous Researchが開発したHermes Agentは、MITライセンスで公開されている自己改善型AIエージェント。公式READMEは「学習ループを内蔵した唯一のエージェント」と位置づけており、実行するたびにスキルを自動生成し、メモリを永続化し、セッションを横断してユーザー像を深化させる仕組みを持つ。
従来のAIエージェントが毎回ゼロから推論を開始するのに対し、Hermes Agentはタスクを完了するたびにスキルを自動生成し、それを継続的に改善していく。$5のVPSからGPUクラスタ、アイドル時にほぼ無料のサーバーレス環境まで、幅広いインフラで動作する点も特徴。
スキルの自動生成と自己改善
複雑なタスクを完了すると、Hermes Agentは自動的にそのタスクの解法を「スキル」として抽象化・記録する。このスキルはagentskills.ioのオープンスタンダードと互換性があり、他のエージェント実装との相互運用性を保ちながら蓄積される。スキルは~/.hermes/skills/配下にSKILL.mdとして保存され、hermes skills browse/search/install/publishで検索・共有もできる。
重要なのは、スキルがその後の実行で継続的に改善される点。ユーザーからの暗黙的なフィードバック(目的達成の有無、修正指示)をもとに、スキルの手順や条件分岐が自動調整される。
/learnコマンドでワークフローを即スキル化
2026年6月23日にPR #51506としてマージされた/learnコマンドは、公式スラッシュコマンドリファレンスによると「ディレクトリ・URL・直前にエージェントを歩かせた作業・貼り付けたメモなど、任意の説明対象から再利用可能なスキルを蒸留する」機能。2日後のPR #52372でCONTRIBUTING.md準拠のスキル作成規約に対応し、初のタグ付きリリースは2026年7月1日のv2026.7.1。エージェントは自らツールを使って材料を集め、標準的な作成規約に沿ったSKILL.mdを生成する。
・私物のAPIドキュメントURLに対して/learnを実行すると、認証・ページネーション・よく使うコールをカバーするスキルが生成される
・ステージングサーバーへのデプロイ作業を1回エージェントと一緒に行った後、「/learn how I just deployed the staging server」と指示すれば、その手順がCLIとメッセージング双方で呼び出せる再現可能な手順になる
/learnは個別のインジェスト機構を持たず、CLI・TUI・メッセージングゲートウェイ・ダッシュボードのどこで実行しても同じ挙動になる。保存されたスキルはそのままスラッシュコマンドとして呼び出せる。
セッション横断的な記憶と想起
エージェントが複数のセッションにわたって学習するには、過去の会話を効果的に検索できる仕組みが必須。Hermes AgentはSQLite FTS5(フルテキストサーチ)を搭載し、全会話履歴から関連する過去ターンをキーワードで高速検索する。さらにLLMを用いた要約により、検索結果を圧縮して現在のコンテキストに統合する。この仕組みにより「3ヶ月前に設定した構成を今のタスクに適用したい」といった縦深い参照が可能になる。
Honchoによる弁証法的ユーザーモデリング
Honcho統合により、Hermes Agentはユーザーの好み・作業パターン・意思決定基準を段階的に学習していく。これは単なる履歴管理ではなく、対話の中でユーザー像を継続的に更新・洗練していく「弁証法的」プロセス。結果として、利用を重ねるほどエージェントの提案や判断がユーザーの意図に合致しやすくなる。
以下のフローチャートは、このサイクルがどう回転するかを示している。
実行"] --> B["タスク完了時に
スキル自動生成"] B --> C["/learn で
任意の作業も
手動スキル化"] C --> D["スキルをメモリに記録
agentskills.io 互換"] D --> E["次回同類タスクで
スキル呼び出し+改善"] E --> F["Honcho で
ユーザー像を更新"] F --> G["FTS5+LLM要約で
過去セッション検索"] G --> H["エージェント精度
段階的向上"] H --> A
初回利用時はエージェントが試行錯誤するため応答に時間がかかる場合がある。しかし同じプロジェクト・ユースケースを繰り返すことで、スキルが最適化され、2回目以降は速度と精度が向上する。定期的なメモリ永続化(nudge)と`/learn`によるスキル化がこの効果を加速させる。
インストールと初期セットアップ:対応環境とネイティブWindows対応
インストール用のURLは2026年内にraw.githubusercontent.com経由から公式ドメイン経由へ変更されている。最新のワンラインインストールは以下。
curl -fsSL https://hermes-agent.nousresearch.com/install.sh | bash
このコマンド一つで、Pythonバージョン確認、UV(高速パッケージマネージャー)のインストール、Hermesコマンドラインツールのセットアップ、シェル設定ファイルへのPATH追加、初期設定ディレクトリ(~/.hermes)の作成が自動実行される。
source ~/.bashrc # bashの場合。zshなら source ~/.zshrc
hermes # インタラクティブCLI起動
対応環境:ネイティブWindowsも公式サポートに
もっとも大きな変更点はネイティブWindows対応。旧バージョンではWSL2の利用が必須だったが、公式ドキュメントによれば現在はPowerShellワンライナーで直接動作する。ネイティブWindows対応はPR #21561で2026年5月8日にベータ追加され、PR #36093で同月31日にベータを卒業している。
iex (irm https://hermes-agent.nousresearch.com/install.ps1)
インストーラーはuv・Python 3.11・Node.js・ripgrep・ffmpegに加え、管理者権限不要のポータブルGit Bash(MinGit、約45MB)を%LOCALAPPDATA%\hermes\gitに展開し、既存のシステムGitとは完全に隔離した状態でシェルコマンドを実行する。システムにGitが既にある場合はそちらを自動検出して使う。
WSL2 / Termux"] Start --> Win["ネイティブ Windows"] Linux --> LinuxCmd["curl install.sh を実行"] Win --> WinCmd["PowerShellワンライナーを実行
uv・Python・ポータブルGit Bashを自動導入"] LinuxCmd --> Ready["hermes コマンドで起動"] WinCmd --> Ready
| 環境 | 対応状況 | 備考 |
|---|---|---|
| Linux (Ubuntu/Debian) | ✅ 完全対応 | 最も安定した動作環境 |
| macOS (Intel/Apple Silicon) | ✅ 完全対応 | 最新モデルで検証済み |
| ネイティブWindows (PowerShell) | ✅ 対応(2026年7月時点) | MinGit同梱、admin権限不要 |
| WSL2(Windows Subsystem for Linux) | ✅ 完全対応 | Linux向けワンライナーがそのまま動く |
| Android (Termux) | ✅ テスト済み | 音声系依存を除いた.[termux]extraを使用 |
`%LOCALAPPDATA%\hermes\bin\uv.exe`(Astral社のuv)がBitdefenderやWindows Defenderに誤検知でブロックされるケースが、[公式README「Troubleshooting」節](https://github.com/NousResearch/hermes-agent/blob/main/README.md#troubleshooting)に記載されている。ML系エンジンが未署名のRustバイナリを一律で疑うことが原因。
gh attestation verifyでの署名検証コマンドと、フォルダ単位でのホワイトリスト登録手順が同節で案内されている。
開発者向けセットアップとバックエンド
フレームワークに貢献したい、カスタムツールを開発したい場合の手順も更新されている。標準インストーラーで作られる$HERMES_HOME/hermes-agentのフルgitチェックアウトから作業するのが推奨経路。
curl -fsSL https://hermes-agent.nousresearch.com/install.sh | bash
cd "${HERMES_HOME:-$HOME/.hermes}/hermes-agent"
uv pip install -e ".[all,dev]"
scripts/run_tests.sh
手動クローンで進める場合、公式ドキュメントは仮想環境をクローン先ディレクトリの外に作ることを明示的に注意喚起している。エージェントが自分自身のチェックアウトに対して相対パスのコマンドを実行すると、ディレクトリ内のvenvが巻き込まれて消去され、稼働中のランタイムがセッション途中で壊れる恐れがあるため。
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh
uv venv ~/.hermes/venvs/hermes-dev --python 3.11
source ~/.hermes/venvs/hermes-dev/bin/activate
uv pip install -e ".[all,dev]"
scripts/run_tests.sh
Telegram・Discord・Slackなど20以上のプラットフォームでの使い方
Hermes Agentの大きな特徴は、単一のゲートウェイプロセスで多数のメッセージングプラットフォームを統一的に管理できる点。公式メッセージングガイドが列挙する対応チャネルは、Telegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・SMS・Email・Home Assistant・Mattermost・Matrix・DingTalk・Feishu/Lark・WeCom・Weixin・BlueBubbles(iMessage)・QQ・Yuanbao・Microsoft Teams・LINE・ntfy・ブラウザの21種類に、Google ChatやIRCなども加わる。最古のタグ付きリリースv2026.3.12(2026年3月12日公開)の時点で既にTelegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・Email(IMAP/SMTP)・Home Assistantの7プラットフォームに対応しており、そこからさらに拡大を続けている。
日本のユーザーにとってはLINE対応が実務上の分岐点になりやすい。TelegramやDiscordは海外エンジニアコミュニティでは標準でも、国内の非エンジニア関係者への共有ではLINEの方が導入障壁が低い場面が多く、Slack中心の開発チームと日本語ネイティブなクライアント・関係者向けの通知経路をLINEで分けて運用する構成が組みやすい。
単一プロセス"] --> TG["Telegram"] GW --> DC["Discord"] GW --> SL["Slack"] GW --> WA["WhatsApp / Signal"] GW --> EM["Email / SMS"] GW --> HA["Home Assistant"] GW --> OTHER["Matrix・DingTalk・LINE等
ほか十数プラットフォーム"]
主要プラットフォーム一覧と特性
| プラットフォーム | 主要機能 | 推奨ユースケース |
|---|---|---|
| CLI(ターミナル) | マルチライン編集、スラッシュコマンド補完、ストリーミング出力 | 開発・深い思考を必要とするタスク |
| Telegram | ボイスメモ自動文字起こし、ファイル送受信、グループチャット対応 | モバイルから素早くメッセージ送信 |
| Discord | サーバー・ダイレクトメッセージ両対応、リッチ埋め込み表示 | チーム共有、複数ワークスペース管理 |
| Slack | ワークスペース統合、スレッド対応 | 企業チーム環境、既存Slackワークフローとの統合 |
| WhatsApp / Signal | モバイルファースト、Signalはエンド・ツー・エンド暗号化 | 非技術者向けUI、機密情報の取り扱い |
| Home Assistant | スマートホーム連携 | 自宅IoT機器の状態確認・操作 |
ゲートウェイセットアップと共通コマンド
hermes gateway setup
# 対応プラットフォームの認証情報入力を促される(Telegram Bot Token、Discord Webhook URL等)
hermes gateway start
# バックグラウンドでゲートウェイ起動。複数プラットフォームからのメッセージを単一プロセスで受信
CLIとメッセージングでコマンド体系がほぼ共通化されている点も使い勝手を左右する。
| コマンド | 機能 | CLI | メッセージング |
|---|---|---|---|
/new / /reset |
新規会話開始 | ✅ | ✅ |
/model [provider:model] |
LLMモデル変更 | ✅ | ✅ |
/personality [name] |
AIキャラクター設定 | ✅ | ✅ |
/retry / /undo |
最後のターン取り消し・再実行 | ✅ | ✅ |
/compress / /usage / /insights |
コンテキスト圧縮・使用量・統計 | ✅ | ✅ |
/skills / /<skill名> |
スキル一覧・呼び出し | ✅ | ✅ |
/stop |
現在の実行中断 | Ctrl+C | ✅ |
/platforms / /status / /sethome |
プラットフォーム状態確認 | 一部 | ✅ |
どのプラットフォームから送信した会話も同じコンテキスト履歴を共有するため、Telegramで始めた会話をSlackから継続できる。Telegramでは音声メモ送信、Slackではスレッド化による複数案件の並列管理、CLIではコンテキスト圧縮と詳細ログ確認——という使い分けが定番。
LLMプロバイダーの自由な選択:300+モデルとローカルLLM対応
hermes modelコマンド一つで、複数のLLMプロバイダーを切り替えられる点は、Hermes Agentの大きな利点。コード変更や再起動は不要で、プロバイダー間を自由に移行できる。
Nous Portalで鍵管理を一本化
モデル・Web検索・画像生成・音声合成・クラウドブラウザと5種類のAPIキーを個別に集めたくない場合、Nous Portalが1つのサブスクリプションで全てをまとめる。公式READMEによると300+モデルを/model <name>で切り替えられ、Web検索(Firecrawl)・画像生成(FAL)・音声合成(OpenAI TTS)・クラウドブラウザ(Browser Use)を横断するTool Gatewayも同じ契約でオンになる。
hermes setup --portal
# OAuthでログイン、Nousをプロバイダーに設定、Tool Gatewayを有効化
hermes portal info
# 現在有効な連携を確認
Nous Portalを使わず、これまで通り自前のAPIキーをプロバイダーごとに使うことも可能。ゲートウェイはバックエンド単位で個別設定できるため、両者を併用しても構わない。
ローカルLLM対応(Ollama・vLLM・llama.cpp等)
「hermes agent ローカルllm」で検索する読者が多いように、Hermes Agentはクラウド一辺倒ではない。公式プロバイダードキュメントは自己ホスト型としてOllama・vLLM・SGLang・llama.cpp・LM Studio・LocalAI・Janを挙げており、「OpenAI互換の任意のAPIエンドポイント」も動作対象と明記している。ネットワーク接続を切った環境や、機密データを外部に出したくない現場での運用に向く。
より詳しいモデル選定・量子化・推論最適化の考え方は LLMとは?仕組み・主要モデル比較・ローカル実行・量子化を一気にまとめる2026年版 を参照。
プロバイダー変更の実際
hermes model
# 対話的プロンプトで利用可能なプロバイダーとモデル一覧が表示される
# 例:
# 1. Nous Portal - 300+モデルから選択
# 2. OpenRouter - meta-llama/llama-2-70b-chat
# 3. Ollama(ローカル) - llama3.1:70b
# 選択番号、または「provider:model」形式で直接指定
300+モデル一括"] CMD --> Cloud["Cloud API
OpenAI / Anthropic / GLM等"] CMD --> Local["ローカルLLM
Ollama / vLLM / llama.cpp等"] CMD --> Custom["OpenAI互換
カスタムエンドポイント"]
| プロバイダー種別 | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|
| Nous Portal | 300+モデル(Claude・GPT・Gemini・DeepSeek・Qwen等) | 1契約でTool Gatewayも同時利用可 |
| クラウドAPI | OpenAI、Anthropic、z.ai/GLM、Kimi/Moonshot、MiniMax | 個別APIキーで従来通り利用 |
| マルチプロバイダーゲートウェイ | OpenRouter、LiteLLM Proxy | 1つのAPIで多数のモデルを横断 |
| ローカルLLM | Ollama、vLLM、SGLang、llama.cpp、LM Studio、LocalAI、Jan | 完全プライベート、オフライン運用可 |
モデル切り替えはリアルタイムで反映され、次のターンから新しいモデルが使用される。
Hermes Agent 使い方の実践編:DevOps自動化・コーディング支援・cron自動化
自然言語でのスケジュール自動化
cron統合機能により、複雑なスケジュール指示を自然言語で記述でき、指定プラットフォームへの自動配信まで一括処理できる。
hermes
> /cron "毎朝9時に前日のGitHubイシューとPRをまとめてTelegramに送信"
> /cron "毎週月曜午前10時に前週のコミット統計を集計してSlackに投稿"
/cron 指示"] --> B["タイミング・実行内容
配信先に分解"] B --> C["cron形式に変換
0 9 * * * 等"] C --> D["永続スケジューラに
ジョブ登録"] D --> E["指定時刻に実行し
結果を配信"] E --> F["失敗時は
自動通知"]
DevOpsでの活用例
「hermes agent devops」で調べる読者向けに、インフラ自動化での使い方を整理する。Hermes Agentは6種類のターミナルバックエンド(Local・Docker・SSH・Singularity・Modal・Daytona)に対応し、$5のVPSから高性能GPUクラスタまで幅広いインフラで動作する。
・Docker:再現性重視の環境隔離。CI相当の検証用途に向く
・SSH:既存サーバーへの軽量な計算タスクの委譲
・Daytona:セッション間のアイドル時に仮想環境をハイバネーションし、オンデマンドで復帰。継続的なサーバー料金がほぼゼロに抑えられる
・Modal:GPU計算が必要な処理を実行時間分だけ課金で利用。バースト需要への対応に最適
・サブエージェント委譲:メインエージェントから孤立したサブエージェントを生成し、複数のワークストリームを並列実行。エラーがメインに波及しない
hermes config set terminal.backend modal
hermes config set modal.gpu_type a100
日次のインフラ死活監視、定期バックアップ確認、コミット統計のSlack配信など、無人で継続実行されるDevOpsタスクを組みやすい。
開発プロジェクトでのコーディング支援
「hermes agent coding」の検索意図に対応する使い方は、プロジェクトディレクトリでの直接起動から始まる。
cd ~/my-project && hermes
> このリポジトリのsrc/配下のPythonファイルを読み、コード品質の問題点を指摘して
> tests/ディレクトリに、src/utils.pyのユニットテストをpytestで生成して
> 未コミットの変更をレビューし、適切なコミットメッセージを提案して
ファイル操作・シェルコマンド実行(ローカル、SSH、Docker経由)・Git操作・正規表現置換・Web取得など、公式ドキュメントで「40+ tools」と説明される組み込みツール群がベースにある。不要なツールはhermes toolsで無効化でき、Model Context Protocol対応の外部MCPサーバーを繋げば機能をさらに拡張できる。
デフォルトではファイル削除やシステムコマンド実行など危険な操作は無効化されている。本番環境で有効化する場合は、
hermes config set security.command_approval trueでコマンド承認機能を有効にし、実行前にユーザーが確認するワークフローを組む必要がある。ゲートウェイ運用時はhermes config set gateway.telegram.allowed_users "user_id_1,user_id_2"のように許可ユーザーを明示するのが公式手順。
OpenClawからの移行
Nous Researchが以前開発していた「OpenClaw」プロジェクトからの移行を容易にするため、ワンコマンド移行ツールが用意されている。
hermes claw migrate # インタラクティブ移行ウィザード
hermes claw migrate --dry-run # 実際には変更せず内容をプレビュー
hermes claw migrate --preset user-data # APIキー等のシークレットを除いた移行
hermes claw migrate --overwrite # 既存の衝突を上書き
SOUL.md(ペルソナ定義)・MEMORY.md/USER.md(メモリ)・ユーザー作成スキル・コマンド許可リスト・プラットフォーム認証・APIキー・TTS素材・AGENTS.mdまで移行対象。初回hermes setup起動時に~/.openclawが自動検出されると移行を提案するダイアログが出るほか、対話的にプレビューしながら進めたい場合はopenclaw-migrationスキルも用意されている。
初回利用時は簡単なタスク(ファイル操作、テキスト処理)から始め、スキルが蓄積されたら複雑なワークフローに移行するのが効率的。
/insights --days 7で直近の利用統計を確認し、どのスキルがよく使われているかを把握すると自動化の次の一手が見えてくる。
他のAIコーディングエージェントとの比較:Codex・OpenHands・Claude Code
「hermes agent codex」のように、他のエージェントとの違いを調べる検索意図は多い。学習ループとメッセージング連携を軸に主要ツールと比較する。
| 項目 | Hermes Agent | OpenAI Codex CLI | Claude Code | OpenHands | AutoGPT |
|---|---|---|---|---|---|
| 学習ループ | 内蔵(スキル自動生成+改善、/learnで手動蒸留も可) |
なし | メモリのみ(CLAUDE.md) | なし | なし |
| LLM切替 | Nous Portal・クラウドAPI・ローカルLLMをhermes modelで自由に切替 |
OpenAIモデル中心 | Anthropicモデル固定 | 複数プロバイダー対応 | OpenAI中心 |
| メッセージング連携 | Telegram・Discord・Slack等20以上 | なし(CLI/ChatGPT内) | CLI+IDE | なし | CLIのみ |
| 自然言語cron | ✅ 対応 | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ |
| ローカルLLM実行 | ✅ Ollama/vLLM/llama.cpp等 | ❌ | ❌ | 一部対応 | 一部対応 |
| 提供形態 | セルフホスト・MITライセンス | ChatGPTのサブスクリプションに付随 | Anthropic公式CLI | セルフホスト・MITライセンス | セルフホスト |
| 特化領域 | 汎用自動化+自己学習 | コーディング特化 | コーディング特化 | コーディング特化 | 汎用(開発停滞気味) |
各ツールの選択基準
・汎用の自動化タスク+自己学習を求める:Hermes Agentが最適。スキルの自動生成と改善、/learnによるワークフロー蒸留は他にない機能
・OpenAI純正・ChatGPTとの一体運用を優先:OpenAI Codex CLI。ChatGPT Business/Enterprise等の契約に組み込まれ、第一party製の完成度を取りやすい
・Anthropicモデルでのコーディング特化運用:Claude Code。IDE連携が強い
・コーディングタスク特化のOSSで比較検討したい:OpenHands。SWE-Benchでの実績を軸にコード生成・修正へ最適化
・サンドボックス分離を重視した並列実行:Tencent CubeSandboxのようなmicroVM型の隔離実行と比較検討する価値がある
まとめ:Hermes Agentが向いている人・向いていないケース
Hermes Agentは、複数のメッセージングプラットフォームから同じエージェントに触れ続けたい人、LLMプロバイダーをクラウドとローカルの間で自由に行き来したい人、cronで無人の定期タスクを組みたい人に向く。学習ループと/learnコマンドにより、使い込むほど自分専用のエージェントに近づいていく設計は、他のOSSエージェントにあまり見られない差別化要素。
一方で、GitHub上のOpen Issuesは26,091件(2026年7月28日時点)と多く、急成長中のOSSらしく機能追加のスピードに対してドキュメント・安定性が追いつききっていない領域もある。ChatGPTやClaude公式CLIのような単一ベンダーの一貫したサポートを求める場合や、コーディング特化のシンプルなツールで十分な場合は、Codex CLIやClaude Code、OpenHandsの方が学習コストは低い。本番でメッセージングゲートウェイを常時稼働させる場合は、コマンド承認機能と許可ユーザーリストの設定を先に済ませておくことが公式ドキュメントでも強調されている。
本稿の数値・日付は2026年7月28日時点のGitHub API実測(★221,670・フォーク42,367・Open Issues 26,091)と、gh pr view/gh api releasesによるPR・リリース履歴の一次確認(#51506・#52372・#21561・#36093・v2026.3.12・v2026.7.1等)に基づく。