この記事ではMCPに特化して解説します。MCP(Model Context Protocol)全般は MCPサーバーの作り方2026完全ガイド をご覧ください。

Claude Codeに「チャートを分析して」と言うだけ

TradingView MCPは、Claude CodeからTradingView Desktopアプリを直接操作できるMCPサーバーだ。78個のツールを搭載し、チャート分析、Pine Script開発、マルチペインレイアウト、アラート管理、リプレイ練習までカバーする。

公開5日で403スター。金融×AI×MCPの組み合わせとしては珍しい本格的な実装。

# インストール
git clone https://github.com/tradesdontlie/tradingview-mcp.git
cd tradingview-mcp
npm install

# TradingViewをデバッグモードで起動
./scripts/launch_tv_debug_mac.sh   # macOS
# scripts\launch_tv_debug.bat      # Windows

# Claude Codeに「チャートを分析して」と言うだけ

仕組み — Chrome DevTools Protocolでローカル接続

外部APIやTradingViewのサーバーには一切接続しない。TradingView Desktop(Electron)のデバッグポートに直接つなぐだけ。

graph LR A["Claude Code"] -->|MCP(stdio)| B["TradingView
MCP Server"] B -->|CDP(port 9222)| C["TradingView Desktop
(Electron)"] style A fill:#e3f2fd style B fill:#fff3e0 style C fill:#e8f5e9

Chrome DevTools Protocol(CDP)はChromium/Electronアプリの標準デバッグインターフェース。VS Code、Slack、Discordと同じ仕組みだ。TradingViewを --remote-debugging-port=9222 で起動するだけで有効になる。

データは全てローカルで処理される。TradingViewのサーバーへの通信、ファイル改変、ネットワーク傍受は一切行わない。

78ツールの全体像

78個のツールは7カテゴリに分類される。

カテゴリ ツール数 できること
チャート読み取り 4 シンボル・時間軸・インジケーター値・OHLCV取得
Pine Scriptデータ 4 ライン・ラベル・テーブル・ボックスの読み取り
チャート操作 10+ シンボル変更、時間軸切替、スクロール、インジケーター管理
Pine Script開発 8 コード注入、コンパイル、エラー確認、保存
マルチペイン 4 レイアウト変更(2x2等)、ペイン別シンボル設定
リプレイ 6 過去データで練習トレード、P&L確認
描画・アラート 8 トレンドライン、水平線、テキスト、価格アラート

「チャートを分析して」で何が起きるか

Claude Codeに自然言語で指示するだけで、適切なツールが自動選択される。

graph TD A["ユーザー: 「今のチャートを分析して」"] --> B["chart_get_state
シンボル・時間軸を取得"] B --> C["data_get_study_values
RSI・MACD・BB等の値を取得"] C --> D["quote_get
最新価格・出来高を取得"] D --> E["capture_screenshot
チャート画像をキャプチャ"] E --> F["Claude Codeが
総合分析レポートを生成"] style A fill:#e3f2fd style F fill:#e8f5e9

典型的なワークフローで消費するコンテキストは5〜10KB。80KBかかる全データ取得に比べて大幅に効率化されている。

ユーザーの指示 実行されるツール
「今のチャートを分析して」 chart_get_state → data_get_study_values → quote_get
「レベルを見せて」 data_get_pine_lines → data_get_pine_labels
「AAPL日足に切り替えて」 chart_set_symbol → chart_set_timeframe
「Pine Scriptでボリンジャーバンドを作って」 pine_set_source → pine_smart_compile → pine_get_errors
「4画面でES, NQ, YM, RTYを表示して」 pane_set_layout → pane_set_symbol ×4
「3/1からリプレイして練習」 replay_start → replay_step → replay_trade

導入手順 — 3ステップ

Step 1: インストール

git clone https://github.com/tradesdontlie/tradingview-mcp.git
cd tradingview-mcp
npm install

Step 2: TradingViewをデバッグモードで起動

# macOS
./scripts/launch_tv_debug_mac.sh

# Windows
scripts\launch_tv_debug.bat

# Linux
./scripts/launch_tv_debug_linux.sh

# 手動(どのOSでも)
/path/to/TradingView --remote-debugging-port=9222

Step 3: Claude Code MCP設定

// ~/.claude/.mcp.json に追加
{
  "mcpServers": {
    "tradingview": {
      "command": "node",
      "args": ["/path/to/tradingview-mcp/src/server.js"]
    }
  }
}

接続確認:

# Claude Codeで聞くだけ
> tv_health_check を実行して

# またはCLIで確認
node src/cli/index.js status

Pine Script開発が劇的に変わる

Pine Scriptの開発は、これまでTradingView上のエディタで手動コーディング → コンパイル → エラー確認 → 修正の繰り返しだった。

TradingView MCPでは、Claude Codeに「RSIが30以下で買い、70以上で売りのストラテジーを書いて」と言うだけで:

# Pine Script開発ワークフロー(全てClaude Codeが自動実行)
# Step 1: コード生成・注入
pine_set_source → コードをTradingViewに注入

# Step 2: コンパイル
pine_smart_compile → サーバーサイドでコンパイル

# Step 3: エラーチェック
pine_get_errors → エラーがあればClaude Codeが自動修正

# Step 4: ログ確認
pine_get_console → 実行時ログを確認

# Step 5: 保存
pine_save → TradingViewに保存

エラーが出たらClaude Codeが自動で修正して再コンパイル。人間はやりたいことを自然言語で伝えるだけ

CLI — MCPなしでも使える

全78ツールはCLIからも実行可能。スクリプトやcronジョブに組み込める。

# CLIインストール(オプション)
npm link

# 使用例
tv status                        # 接続確認
tv quote                         # 現在価格
tv symbol AAPL                   # シンボル変更
tv ohlcv --summary               # 価格サマリー
tv screenshot -r chart            # チャートスクリーンショット
tv pine compile                   # Pine Scriptコンパイル
tv pane layout 2x2               # 4画面グリッド
tv stream quote | jq '.close'    # 価格リアルタイム監視

ストリーミング — リアルタイム監視

ローカルのTradingViewからJSONL形式でデータをストリーミングできる。

# 価格ティック監視
tv stream quote

# バー更新監視
tv stream bars

# インジケーター値の変化を監視
tv stream values

# 特定インジケーターのライン監視
tv stream lines --filter "NY Levels"

# 全ペイン一括監視(マルチシンボル)
tv stream all

Apache Airflowのようなデータパイプラインツールと組み合わせれば、TradingViewのデータを自動分析パイプラインに流すことも可能。

類似ツールとの比較

ツール 対象 接続方法 ツール数 特徴
TradingView MCP TradingView Desktop CDP(ローカル) 78 Pine Script開発、リプレイ、マルチペイン
Unity MCP Unity Editor ローカル 20+ ゲーム開発向け
Google Analytics MCP GA4 API 10+ アクセス解析
TradingView公式API TradingView REST API 限定的 ウィジェット埋め込み中心

TradingView MCPの差別化は78ツールの網羅性ローカル完結のセキュリティ。外部サーバーにデータを送らないため、トレーディング戦略が漏洩するリスクがない。

78ツールの全カテゴリを検証した結果

実際にリポジトリを調査し、78ツールの全カテゴリと各ツールの役割を整理した。

TradingView MCP 78ツール一覧

7カテゴリの内訳:

  • Chart Reading(8ツール): chart_get_statequote_getdata_get_ohlcvなど。チャートの現在状態・OHLCV・インジケーター値を取得
  • Chart Control(11ツール): シンボル変更、時間足切替、インジケーター追加/削除、バッチ操作
  • Pine Script Development(12ツール): スクリプト注入・コンパイル・デバッグ・保存の完全なIDE相当サイクル
  • Multi-Pane & Tabs(10ツール): 2x2、4画面、6画面、8画面のレイアウトグリッド管理
  • Replay Mode(6ツール): 過去チャートのバー送り、練習トレード
  • Drawing, Alerts & UI(18ツール): 描画ツール、アラート設定、スクリーンショット、ウォッチリスト
  • Streaming & UI(13ツール): リアルタイムJSONLストリームでクォート・バー・インジケーターを監視

全ツールがMCPとCLIの両方で使える。例えばtv quote_get --symbol AAPLでCLI直接実行、Claude Codeからは自然言語で「AAPLの現在価格は?」と聞くだけで同じツールが呼ばれる。

なお、元リポジトリ(nicholishen/tradingview-mcp)は削除/非公開化されており、現在のメインリポジトリはtradesdontlie/tradingview-mcp(1,447スター)。

TradingView Claude連携の実践パターン

Claude CodeとTradingViewを連携させる際の代表的なユースケースをまとめる。

マルチシンボル監視とアラート設定

複数のシンボルを同時に監視し、条件を満たしたときにアラートを設定するワークフローは以下の通り。

# Claude Codeに指示する例
> 「ES, NQ, YM, RTYの4画面を表示して、各チャートにRSIとBBを追加して」

# 実行されるツール群:
# pane_set_layout 2x2
# pane_set_symbol 0 ES
# pane_set_symbol 1 NQ
# pane_set_symbol 2 YM
# pane_set_symbol 3 RTY
# chart_add_indicator RSI (x4)
# chart_add_indicator BollingerBands (x4)

Pine Scriptのデバッグサイクル

TradingView Claudeの連携が特に威力を発揮するのはPine Scriptのデバッグだ。従来はTradingViewエディタ上で手動修正→コンパイル→確認を繰り返す必要があったが、Claude Codeが自動でエラー箇所を特定し修正する。

// Claude Codeが生成するPine Scriptの例
//@version=5
strategy("RSI Mean Reversion", overlay=true)

rsiLen = input.int(14, "RSI Length")
rsiOversold = input.float(30, "Oversold Level")
rsiOverbought = input.float(70, "Overbought Level")

rsiVal = ta.rsi(close, rsiLen)

if rsiVal < rsiOversold
    strategy.entry("Long", strategy.long)
if rsiVal > rsiOverbought
    strategy.close("Long")

plot(rsiVal, "RSI", color=color.purple)

Claude Codeはこのコードを pine_set_source で注入し、pine_smart_compile でコンパイル。エラーがあれば pine_get_errors で取得してから自動修正を繰り返す。

リプレイモードを使ったバックテスト練習

TradingViewのリプレイ機能をClaude Code経由で操作すれば、過去の任意の日付からチャートを再生して練習トレードが可能。

# リプレイモードのワークフロー
> 「2026-01-15からBTCUSDの日足リプレイを開始して」

# replay_start → 指定日時にチャートを巻き戻し
# replay_step  → 1バーずつ進める
# replay_trade → 練習エントリー/エグジット
# replay_pnl   → 損益を確認
flowchart TD A["replay_start
開始日を指定"] --> B["replay_step
1バーずつ進める"] B --> C{"エントリー条件
を満たす?"} C -->|Yes| D["replay_trade
練習エントリー"] C -->|No| B D --> E["replay_step
さらに進める"] E --> F{"エグジット条件
を満たす?"} F -->|Yes| G["replay_trade
決済"] F -->|No| E G --> H["replay_pnl
損益確認"] style A fill:#e3f2fd style H fill:#e8f5e9

トラブルシューティング

TradingView Claude連携でよくある問題と対処法を整理した。

問題 原因 対処法
接続エラー(CDP) TradingViewがデバッグモードで起動していない --remote-debugging-port=9222 オプション付きで再起動
ツール実行タイムアウト TradingViewの画面ロード中にコマンド送信 数秒待ってからリトライ。tv_health_check で接続確認
Pine Scriptコンパイルエラー バージョン非互換 @version=5 を先頭に指定。v4構文が混在していないか確認
マルチペインが反映されない レイアウト変更後にシンボル設定が必要 pane_set_layout の後に各ペインへ pane_set_symbol を実行
ストリーミングが停止する TradingViewのアイドルスリープ TradingViewのウィンドウを前面に出すか、設定でスリープを無効化
# 接続が切れた場合のリカバリ手順
# 1. TradingViewプロセスを確認
ps aux | grep -i tradingview

# 2. デバッグポートが開いているか確認
curl -s http://localhost:9222/json/version | jq '.Browser'

# 3. 再起動(macOS)
./scripts/launch_tv_debug_mac.sh

注意事項

  • TradingViewの有料サブスクリプションが必要(ペイウォール回避はしない)
  • TradingViewの内部Electron APIに依存しており、アップデートで動作しなくなる可能性がある
  • プログラマティックなデータ取得はTradingViewの利用規約に抵触する可能性がある。利用は自己責任
  • 実際の注文執行は不可(チャート操作と分析のみ)
  • MCPサーバーの基本的な作り方を理解していると導入がスムーズ

参照ソース


この記事はAI業界の最新動向を速報でお届けする「AI Heartland ニュース」です。