この記事ではMCPに特化して解説します。MCP(Model Context Protocol)全般は MCPサーバーの作り方2026完全ガイド をご覧ください。

概要

sec-edgar-mcpは、米国証券取引委員会(SEC)のEDGARデータベースにアクセスするためのModel Context Protocol(MCP)サーバー。Claude DesktopなどMCP対応LLMから自然言語で企業の10-K、8-K、S-1などの提出書類を検索・取得できる。従来はEDGARの公式サイトで手動検索し、CIK(企業識別番号)を調べてからダウンロードする必要があったが、このツールは企業名を伝えるだけで書類の全文を返す。

MCPの仕組みについては、Claude CodeのAuto Modeで変わる開発ワークフローも参照するとLLMとツール統合の全体像を理解しやすい。

主な機能

  • 企業情報検索: 企業名またはティッカーシンボルからCIK・住所・事業内容を取得
  • 提出書類一覧取得: 指定企業の10-K、10-Q、8-K、S-1など提出書類の種類・日付・アクセッションナンバーをリスト表示
  • 書類全文取得: アクセッションナンバーを指定して提出書類の本文をテキスト形式で直接取得
  • 日付範囲フィルタ: 特定期間内の提出書類だけを絞り込み検索
  • 自然言語インターフェース: Claude上で「Appleの最新10-Kを取得して」と指示するだけで処理が完了
  • リアルタイムアクセス: SECの公式データベースから最新情報を直接取得
  • MCP標準準拠: stdio通信を使い、他のMCPツールと併用可能

技術スタック

  • 言語: TypeScript
  • ランタイム: Node.js
  • 通信プロトコル: Model Context Protocol(stdio経由)
  • データソース: SEC EDGAR公式API
  • 依存パッケージ: @modelcontextprotocol/sdk、axios(HTTP通信)、zod(スキーマ検証)
  • 対応クライアント: Claude Desktop、MCP互換LLM環境

処理フロー

SEC EDGAR MCPがClaude Desktopからデータを取得するまでの流れを図示する。

sequenceDiagram participant User as ユーザー participant Claude as Claude Desktop participant MCP as sec-edgar-mcp
(MCPサーバー) participant EDGAR as SEC EDGAR
公式API User->>Claude: 「Appleの最新10-Kを取得して」 Claude->>MCP: search_company(name="Apple") MCP->>EDGAR: GET /submissions/?company=Apple EDGAR-->>MCP: CIK・企業情報を返却 MCP-->>Claude: CIK: 0000320193 Claude->>MCP: get_filings(cik="0000320193", type="10-K") MCP->>EDGAR: GET /submissions/CIK0000320193.json EDGAR-->>MCP: 提出書類リストを返却 MCP-->>Claude: 書類一覧(日付・アクセッションナンバー) Claude->>MCP: get_filing_document(accession_number="...") MCP->>EDGAR: GET /Archives/edgar/data/.../ EDGAR-->>MCP: 書類テキスト全文を返却 MCP-->>Claude: 10-K本文テキスト Claude-->>User: 要約・分析結果を返答

自然言語での問いかけ一つで、企業名の解決からCIK取得、書類一覧の取得、本文の抽出まで複数のAPIコールが自動的に連鎖する。

導入方法

前提条件

Node.js 18以上をインストール済みであること。

インストール

git clone https://github.com/stefanoamorelli/sec-edgar-mcp.git
cd sec-edgar-mcp
npm install
npm run build

Claude Desktopへの設定

~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json(macOS)または%APPDATA%/Claude/claude_desktop_config.json(Windows)を編集:

{
  "mcpServers": {
    "sec-edgar": {
      "command": "node",
      "args": ["/絶対パス/sec-edgar-mcp/build/index.js"]
    }
  }
}

Claude Desktopを再起動後、「Appleの最新10-Kを取得して」と入力すれば動作する。

Claude Desktop設定のポイント `args` に指定するパスは絶対パスが必須。`~/` のようなチルダ展開は機能しない場合があるため、`/Users/yourname/...` の形式で記述する。設定後は必ず Claude Desktop を完全に再起動(メニューバーのアイコンからQuit)してからMCPツールが認識されているか確認すること。ツール一覧に `sec-edgar` が表示されていれば接続成功。

競合比較

項目 sec-edgar-mcp sec-api.io EDGAR公式サイト
MCP対応 × ×
自然言語検索 △(API経由) ×
料金 無料 有料プラン必須 無料
リアルタイム性
プログラマブル ×

sec-api.ioは専用APIを提供するが月額課金が必要で、LLMとの統合には別途ラッパーを書く手間がかかる。EDGAR公式サイトは無料だがブラウザ操作が必須で、大量の書類を分析する際はスクレイピングコードが必要になる。sec-edgar-mcpはMCP標準に準拠しているため、Claudeに「過去3年のAppleとMicrosoftの10-Kを比較して」と指示するだけで自動的に複数書類を取得・比較できる点が最大の差別化要素。

金融データをさらに広く扱いたい場合は、OpenBB:金融データの取得・分析・可視化をPythonで一元化するOSSプラットフォームと組み合わせることで、SECデータと市場データを統合したより深い分析が可能になる。

活用シーン

財務分析の自動化: 投資判断のために複数企業の10-Kを比較する際、Claudeに「Tesla、Ford、GMの最新10-Kから研究開発費を抽出して表にまとめて」と指示すれば、書類取得・解析・要約が一連の対話で完結する。従来は各社サイトから手動ダウンロード→テキスト抽出→Excelへ転記という工程が必要だった。

規制対応チェック: コンプライアンス部門が特定期間の8-K(重要事象報告書)を監視する場合、「2024年1月以降のテック企業8-Kで役員変更を含むものを列挙」とClaude経由で依頼すれば、該当書類のリストと要約が返ってくる。手動検索では見落としが発生しやすい作業を自動化できる。

スタートアップ調査: S-1(新規株式公開届出書)から事業リスクやビジネスモデルを調べる際、「Snowflakeの最新S-1からリスクファクターを箇条書きにして」と指示すれば、数百ページの書類から該当箇所だけを抽出。デューデリジェンス作業の初期段階を大幅に短縮する。

チャート分析と組み合わせるならTradingView MCP:Claude CodeからTradingViewを完全操作する78ツールのMCPサーバーも参照されたい。テクニカル分析とファンダメンタル分析を同一のClaude会話内で完結できる。

財務分析での具体的な活用シーン:複数企業の横断比較 SEC EDGAR MCPの最も効果を発揮するユースケースは、複数企業の提出書類を同一会話内で一括取得・比較する作業だ。たとえば以下のような指示を Claude に投げるだけで機能する。 ~~~ 「S&P500上位5社(Apple、Microsoft、Nvidia、Amazon、Alphabet)の 直近10-Kから以下の数字を抽出してMarkdownテーブルにまとめて: 売上高、営業利益率、R&D費用、フリーキャッシュフロー」 ~~~ 従来この作業には、①各社のEDGARページを手動で開く → ②最新10-Kを特定 → ③PDFをダウンロード → ④該当数字を検索 → ⑤Excelに転記、という5ステップが1社ごとに必要だった。SEC EDGAR MCPを使えば5社分を1回の自然言語指示で完結できる。ファンドマネージャーやアナリストが四半期ごとに行うセクター比較レポート作成で特に威力を発揮する。

こんな人におすすめ

  • 個人投資家: 企業分析のために毎回EDGARサイトを手動検索する手間を省きたい人。Claudeと対話するだけで財務データを取得できる
  • 財務アナリスト: 複数企業の提出書類を横断比較するレポート作成が多く、データ取得の自動化でリサーチ時間を削減したい人
  • コンプライアンス担当: 規制当局への提出書類を定期的にチェックする業務があり、特定の文言や項目を含む書類を効率的に抽出したい人
  • LLMアプリ開発者: 財務データを扱うAIエージェントやチャットボットを構築中で、MCPを使った外部データソース統合の実例を探している人
  • 法務関係者: M&A案件などで企業の開示情報を迅速に調査する必要があり、ブラウザ操作なしで書類全文を取得したい人

特にMCP初学者にとっては、金融という明確なユースケースがある本ツールは、MCPの実用性を体感するのに最適な入門事例だ

参照ソース