何が起きたか

NASAの探査機Voyager 1が1977年の打ち上げから48年以上経過した現在も稼働していることが、改めて注目を集めている。搭載メモリはわずか69KB、データ記録には8トラックテープレコーダーを使用。現代のスマートフォンアプリ1つが数百MBのメモリを要求する時代に、その数千分の一のリソースで太陽系外からデータを送信し続けている。

搭載コンピュータの仕様

Voyager 1には3つのコンピュータシステムが搭載されている。コマンドコンピュータサブシステム(CCS)、フライトデータサブシステム(FDS)、姿勢・連接制御サブシステム(AACS)である。合計メモリは69.63KBで、プロセッサは当時のカスタムCMOS設計。

コンポーネント 仕様
メモリ合計 69.63KB
データ記録 8トラックデジタルテープレコーダー
通信出力 約23W(打ち上げ時)
電力源 RTG(放射性同位体熱電気変換装置)×3基
現在の地球からの距離 約240億km

8トラックテープレコーダーは、ソリッドステートメモリが存在しなかった時代の標準的なデータ記録装置である。磁気テープは当時利用可能な最も信頼性の高いデータ保存手段だった。

設計思想:複雑さの最小化

Voyager 1が48年以上にわたり稼働し続けている最大の要因は、設計思想にある。複雑さを最小化し、故障点を削減することに徹底して注力した。冗長なセンサーと通信システムを搭載し、一部の機能が喪失しても残りの系統で運用を継続できる設計が採用された。

69KBのメモリ制約下では、データを圧縮・選別して地球に送信する。転送速度は現在わずか160bps程度で、通信には片道20時間以上を要する。

電力供給と現在のミッション

電力源は3基のRTGで、プルトニウム238の崩壊熱を電力に変換する。打ち上げ時の約470Wから毎年約4Wずつ低下し、2026年時点では約200W程度。NASAは不要な機器を順次停止させて科学観測を延命させている。

2012年に太陽圏を離脱し、星間空間に到達した最初の人工物として、現在も星間物質の密度、磁場、プラズマの特性を計測し続けている。遠くない将来、通信維持が困難になると予測されているが、現時点でこの1977年の工学的傑作は宇宙の観測を継続している。

参考リンク


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