この記事ではMCPに特化して解説します。MCP(Model Context Protocol)全般は MCPサーバーの作り方2026完全ガイド をご覧ください。

X Harness OSSとは:月額0円で動くXマーケティング自動化の全容

Xマーケティングの自動化ツール市場は長らくXステップ(月額21,780円〜)やSocialDog(月額1,980円〜)が占有してきた。X Harness OSSはこれらの完全な無料代替として登場したオープンソースプロジェクトだ。Cloudflare Workers上で動作し、インフラコスト0円でセルフホスト運用できる。

技術スタックはCloudflare一本化という設計思想が貫かれている。API・Webhook処理をCloudflare Workers(Hono)、データベースをCloudflare D1(SQLite)、定期実行をWorkers Cron Triggers(5分毎)で処理する。管理画面はNext.js 15(App Router)+ Tailwind CSSで実装され、ブラウザから直感的に操作できる。

特に注目すべきはMCP Server(Model Context Protocol)を標準搭載している点だ。Claude CodeのMCP連携機能を活用することで、自然言語でXアカウントを操作できる。投稿・DM・フォロワー管理・キャンペーン作成まで30ツールが揃い、AIによるXアカウント運用の完全自動化が実現可能だ。

機能カタログ:エンゲージメントゲートからMCP Serverまで

X Harnessの機能は大きく8カテゴリに分類される。

エンゲージメントゲートは本ツールの核心機能だ。特定の投稿に対して「リプライ+いいね+RT+フォロー」の条件を組み合わせ、条件達成者に対してDM自動送信・LINE連携・verify APIを実行する。Xステップが有料で提供するステップ機能の完全代替として機能する。

キャンペーンウィザードは4ステップ(投稿→条件設定→LINE連携→プレビュー)でキャンペーン全体を一括設定できる。LINE Harness OSSとの連携も組み込まれており、Xエンゲージメントを条件とするLINE特典配布が数分で設定できる。

その他の機能を整理すると:

  • 投稿管理 — テキスト・画像・動画投稿、スレッド作成、スケジュール投稿
  • リプライ管理 — 受信リプライ確認、ワンクリックいいね/RT/返信
  • 引用ツイート管理 — 引用RT自動検出・DB永続化・リアクション自動化
  • DM管理 — 会話一覧(プロフィール表示)、メッセージ履歴、送受信
  • フォロワー管理 — ゲート通過者のタグ付け・セグメント分け
  • フォロワー数トラッキング — 日次スナップショット、7日/30日増減グラフ
  • API使用量可視化 — エンドポイント別・ゲート別のコスト追跡
  • スタッフ管理 — owner/admin/editor/viewerの4ロール

管理画面のUI:ローカル起動後の実画面

Next.js 15で構築された管理画面をローカルで起動し、ダミーデータを投入した状態を確認した。

ダッシュボード

X Harness ダッシュボード

左サイドバーにアカウント切替・全機能ナビゲーションが配置される。メイン領域にはエンゲージメントゲート数・フォロワー数(3,847)・タグ数・予約投稿数・スタッフ数・今月のAPIリクエスト数(2,847件、推定コスト$0.0156)の統計カードが並ぶ。フォロワー推移のミニバーチャート(7日+124・30日+389の増減表示)とクイックアクションリンクも完備している。

エンゲージメントゲート管理

X Harness エンゲージメントゲート

アクティブなゲートがカード形式で一覧表示される。各ゲートには対象投稿ID・トリガータイプ・いいね/RT/フォロー条件・推定APIコスト・LINE連携設定が表示される。「新しいキャンペーンを始めましょう」バナーからキャンペーンウィザードへの動線も整備されている。

フォロワー管理

X Harness フォロワー管理

ゲートを通過したフォロワーがリスト表示され、タグ付け・セグメント管理ができる。フォロワー数トラッキングはダッシュボードと連動し、7日/30日の増減が一目で確認できる設計になっている。

システムアーキテクチャ:リプライトリガー設計の仕組み

技術スタックをCloudflare一本化することで、複数IaaSベンダー管理の複雑さを排除した設計だ。

graph TD X["X Platform (API v2)"] CF["Cloudflare Workers
(Hono API)"] D1["Cloudflare D1
(SQLite)"] CRON["Cron Trigger
(*/5 * * * *)"] WEB["Next.js 15
管理画面"] SDK["TypeScript SDK
(@x-harness/sdk)"] MCP["MCP Server
(@x-harness/mcp)"] LINE["LINE Harness
verify API"] CLAUDE["Claude Code
/ MCPクライアント"] X <-->|"OAuth 1.0a + API v2"| CF CF --> D1 CRON -->|"リプライ検出
フォロワー数スナップ
引用RT DB保存"| CF WEB -->|"REST API"| CF SDK -->|"REST API"| CF MCP -->|"SDK経由"| SDK CLAUDE -->|"自然言語操作"| MCP LINE -->|"ゲート条件検証"| CF

Cloudflare Workers上で動作するHonoフレームワークがAPIレイヤーを担当。X Webhook受信・REST API・5分毎のCron Triggers処理を統一的に管理する。

リプライトリガーアーキテクチャにより、APIコールを最小化している。5分毎のCronがsince_idを使って差分取得するため、定期ポーリングによるAPI消費を抑制できる。これがコストを月$3〜5程度に抑えられる主な理由だ。

データベースはCloudflare D1(SQLite)。X アカウント・フォロワー・ゲート設定・投稿履歴・API使用量ログを複数テーブルでスキーマ化している。無料枠は5GBストレージ、1日10万リクエスト。

5分デプロイ:セットアップ手順

前提条件の確認

  • Node.js 20+・pnpm 9+
  • Cloudflareアカウント(無料)
  • X Developerアカウント(Pay-Per-Use推奨)

1. リポジトリのセットアップ

git clone https://github.com/Shudesu/x-harness-oss.git
cd x-harness-oss
pnpm install

2. Cloudflare D1データベースの作成

# D1データベース作成(出力されるdatabase_idをwrangler.tomlに記入)
npx wrangler d1 create x-harness

# スキーマを適用
npx wrangler d1 execute x-harness --file=packages/db/schema.sql

apps/worker/wrangler.tomldatabase_idに出力されたIDを設定する。

3. APIキーとシークレットの設定

# Cloudflare Workers シークレット設定
npx wrangler secret put API_KEY        # 管理画面ログイン用APIキー

# X APIトークンも同様に設定
npx wrangler secret put X_ACCESS_TOKEN
npx wrangler secret put X_ACCESS_TOKEN_SECRET
npx wrangler secret put X_CONSUMER_KEY
npx wrangler secret put X_CONSUMER_SECRET

4. WorkersとダッシュボードをデプロイWorkersはpnpm deploy:worker、管理画面(Next.js)はnpx wrangler pages deploy outでCloudflare Pagesに配置する。

5. Xアカウント登録

# API経由でXアカウントを登録
curl -X POST https://your-worker.workers.dev/api/x-accounts \
  -H "Authorization: Bearer YOUR_API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{
    "xUserId": "YOUR_X_USER_ID",
    "username": "YOUR_USERNAME",
    "accessToken": "ACCESS_TOKEN",
    "accessTokenSecret": "ACCESS_TOKEN_SECRET",
    "consumerKey": "CONSUMER_KEY",
    "consumerSecret": "CONSUMER_SECRET"
  }'

登録後、管理画面にアクセスしてAPIキーでログインすると、サイドバーにアカウントが表示される。

MCP Server活用:Claude CodeからXを操作する

X HarnessのMCP Serverを使うと、Claude CodeなどのMCPクライアントから自然言語でXアカウントを操作できる。

MCP設定(.mcp.json

{
  "mcpServers": {
    "x-harness": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@x-harness/mcp@latest"],
      "env": {
        "X_HARNESS_API_URL": "https://your-worker.workers.dev",
        "X_HARNESS_API_KEY": "your-api-key"
      }
    }
  }
}

設定後、Claude Codeから以下のような操作が可能になる:

  • 「明日の朝8時にこのツイートをスケジュール投稿して」
  • 「フォロワーにai-toolタグを付けてリスト表示して」
  • 「今月のAPIコストを確認して」
  • 「エンゲージメントゲートを新規作成して、いいね+RTを条件にDMを送るよう設定して」

利用可能な30ツールは投稿・DM・ユーザー・ゲート・キャンペーン・スタッフ・使用量の7カテゴリに分類される。OpenHandsのようなAIエージェントツールと組み合わせれば、Xの手動操作が必要な領域まで自動化の範囲を広げることができる。

既存SaaSとの機能比較

X HarnessとXステップ・SocialDogの機能差異を整理すると、選択基準が明確になる。

機能 X Harness Xステップ SocialDog
月額料金 $0〜5 ¥21,780〜 ¥1,980〜
エンゲージメントゲート
キャンペーンウィザード
LINE連携
DM管理
リプライ一括操作
引用RT管理
フォロワー分析
API使用量可視化
MCP Server(AI連携)
TypeScript SDK
セルフホスト
オープンソース
ステルス設計(BAN対策)

Xステップ・SocialDogはマネージド型SaaSのため初期導入は容易だ。一方X Harnessは「コスト0円+完全カスタマイズ+MCP対応+BAN対策」という組み合わせで独自の価値を形成している。技術チームを持つ組織や個人開発者にとって、長期的なコスト効率とカスタマイズ自由度は圧倒的に優位だ。

制限事項と運用上の注意点

注意: X Harnessはセルフホスト型OSSのため、セットアップ・運用・障害対応をすべて自己責任で行う必要がある。

X APIコストは変動する。 通常運用は月$3〜5程度だが、バズ投稿時は$20〜45に跳ね上がることがある。Pay-Per-Useプランの料金体系を事前に把握した上で運用すること。

Cloudflare無料枠に上限がある。 1日10万リクエスト・D1は5GBストレージが上限。大規模アカウント(フォロワー10万人超)の運用や複数アカウント同時管理では有料プランへの移行を検討する必要がある。

技術スキルが必須条件。 Cloudflare Workers・D1・X API v2の知識が前提となる。SaaSと異なり、障害対応やアップデート適用はすべて内製で対応しなければならない。

X APIポリシーの変更リスク。 Twitter/Xは過去に何度もAPI仕様を変更しており、OSSの対応が追いつかない期間が生じる可能性がある。GitHubのIssue・PRを定期的に確認することを推奨する。

LINE連携にはLINE Harness OSSが別途必要。 クロスプラットフォームキャンペーンを実現するには、LINE Harness OSSのセットアップを先に完了させておく必要がある。LINE Developerアカウントとチャネル作成も前提条件となる。

参照ソース