Claude Code で漫画を生成するためのスキル「rimochan-nyamuru-manga-forge」(以下 manga-forge)を、2026-10-16 に clone して動かせるところまで動かした。GitHub Star は 34(同日時点)、タグとリリースは無く、最終コミットは 2026-10-05 の e1f002c だ。ネームは Claude Code が YAML で書き、絵は codex CLI の画像生成が描く分業になっている。

manga-forgeに同梱された出力サンプル2ページ。1ページ目はコンビニ帰りの少女を3段のコマで描き、最後のコマで空を見上げて止める。2ページ目は冒頭の大ゴマで虹を見せ、下段に歩く姿と顔のアップを置く。右上にページ番号1/2と2/2がある
同梱サンプル examples/output-sample/page1.png・page2.png(© 2026 sa-san10、MIT License のリポジトリに同梱。2枚を横に並べて縮小)。にゃむるたん(CC BY 4.0)は写っていない

30秒でわかる manga-forge(2026-10-16時点)

  • ・正体:「漫画を描いて」と頼むと、Claude Code がネームを OMNY という YAML に設計し、forge.sh が codex CLI に1ページずつ作画を頼む Claude Code スキル
  • ・作画:このスキル自身は絵を描かない。codex に画像生成が使えるプランでログインしている必要がある
  • ・実測:clone 直後は実行権限が無く Permission denied。chmod 後、作画をスタブに差し替えて回収・自主リテイクの仕分け・納品の上書きガードまで動いた
  • ・未検証:実際の作画。この環境では codex の通信先がプロキシで遮断された
  • ・ライセンス:MIT。マスコットのにゃむるたんだけ CC BY 4.0

この記事は「Claude Code」クラスタの1本です。インストールから設定までの全体像は Claude Code|2026年版・インストールからCLAUDE.md・Hooks・本番運用までの実装手引き にまとめている。

manga-forgeとは:Claude Codeで漫画の原稿を焼くスキル

README の冒頭は「自然言語で頼むと、漫画の原稿が出てくる——Claude Code 用のスキル」だ。「5ページで、こういう話の漫画を描いて」と書くと、page1.png から page5.png が出てくる、という触れ込みになっている。

読者の3つの問いに答えると次のとおり。

・何ができる:話の筋からネームを起こし、コマ割り・フキダシ・背景の描き込み量まで指定した複数ページの漫画画像を作る
・何を解決する:画像生成AIに漫画を頼んだときの定番の失敗(宣言だけで画像が出ない、ページ間で絵柄が変わる、別作品の会話を掴む)を、依頼文とスクリプトの側で防ぐ
・何を代替する:ネームを手で書いてチャット画面に1ページずつ貼る作業。README は「ワンクリックで傑作が出る魔法ではありません」と書いており、ネームの質がそのまま出る

スキルという仕組みそのものは Claude Skillsとは|「スキル=フォルダ」の仕組みと作り方・使い方を徹底解説 で扱っている。manga-forge もフォルダ1つで、中身は SKILL.md(8,610バイト)、bash スクリプト3本、仕様ファイル2つ、落とし穴集の docs/pitfalls.md だ。

名前の rimochan は、このパイプラインで毎日漫画を描いている Claude Code エージェント「リモちゃん」から来ている。nyamuru はデータモデルの名前だ。

仕組み:OMNYのネームをcodexが1ページずつ描く

FROM WORDS TO PAGES一言が原稿になるまで

Claude Code がネームを書き、作画は codex に渡す

  1. 依頼文

    Nページの漫画を描いて

  2. ネーム設計

    Claude Code が OMNY を書く

  3. 作画

    forge.sh が codex exec を呼ぶ

  4. 回収

    collect.sh が pageN.png に

  5. 検品・納品

    全ページを目視→deliver.sh

出典: SKILL.md・scripts/forge.sh・collect.sh・deliver.sh(e1f002c、2026-10-16時点)

ネームと作画の規則は、役割の違う2つのファイルに分かれている。

ファイル 中身 誰が書くか
OMNY(Open Manga Name YAML) 作品ごとのネーム。A4(210×297mm)基準のコマ座標、フキダシの文と形(9種)、背景詳細度 bg(-1〜2)、素材の一覧 Claude Code が作品ごとに書く
OMAY(Open Manga Artwork YAML) 全作品に共通の作画とレイアウトの規則。右綴じで右上から左下へ読む、ヘッダーにタイトルとページ番号、など 同梱の standard.omay.yaml(30,217バイト)をそのまま使う
prompts/ndm-v10.md OMNY の書き方の全仕様とコマ割りパターン集(A〜Y) Claude Code が OMNY を書く前に読む

同梱サンプル examples/sample-2page.omny.yaml の1コマ目は次のように書かれている。座標は mm、bg: 2 は背景を細かく描く指定だ。

- id: 1
  shape: {type: "rect", x: 10, y: 10, w: 190, h: 92}
  bg: 2
  assets: ["ミオ", "ハミングマート"]
  figures:
    - name: "ミオ"
      bbox: {x: 70, y: 22, w: 70, h: 76}
      anchor: "center"
      size: "waist-up"
  bubbles:
    - text: "なんでもない日の、帰り道。"
      shape: "caption"
    - speaker: "ミオ"
      text: "アイス買っちゃったのだ"
      shape: "normal"

作画の依頼は scripts/forge.sh が組み立てる。中身を読むと、手順は次のとおりだった。

・page1 は codex exec の新しい会話で、依頼文の先頭に「いま画像生成ツールを呼び出して1枚生成し、PNGの絶対パスを1行で出力せよ」という強制の3行を置き、OMAY 全文と OMNY 全文を渡す
・ログに出る session id を拾い、page2 以降は codex exec resume <その id> で同じ会話を名指しで続ける。--last を使わないので、他の codex 呼び出しが割り込んでも別の会話を掴まない
・各ページの依頼のあいだに増えた PNG を takes.tsv に記録し、collect.sh が各ページの最後の1枚を pageN.png に採用する
・--skip-git-repo-check を付け、git 管理外のフォルダでも codex が黙って終わらないようにしている

検品はスクリプトではない。SKILL.md は「全ページを実際に開いて見る」ことをエージェントに求め、ページ欠け・セリフ・衣装の一貫・季節と服装の矛盾・フキダシの尻尾を確かめるチェックリストを置いている。

実測:Claude Codeの漫画スキルを導入して作画の手前まで動かす

検証環境は Linux(x86_64)、bash 5.2.21、2026-10-16。README の「5分で試す」から始めた。

git clone --depth 1 https://github.com/sa-san10/rimochan-nyamuru-manga-forge
cd rimochan-nyamuru-manga-forge
./scripts/forge.sh -n examples/sample-2page.omny.yaml
# ... ./scripts/forge.sh: Permission denied
git ls-files -s scripts/
# 100644 ... scripts/collect.sh  (deliver.sh・forge.sh も 100644)
chmod +x scripts/*.sh
./scripts/forge.sh -n examples/sample-2page.omny.yaml
# ERROR: codex CLI が見つからないのだ。docs/setup.md を見てほしいのだ

スクリプト3本は実行権限なし(100644)で登録されていた。forge.sh は最後に collect.sh を直接呼ぶので、bash scripts/forge.sh で起動しても、作画のあと collect.sh: Permission denied(終了コード 126)で回収が止まる(スタブで確認)。docs/setup.md には chmod +x scripts/*.sh が書かれているので、README より先にそちらを読むほうが早い。

続けて、確かめられたことを表にまとめた。作画の部分は、引数と標準入力を記録して手元の PNG を置くだけのスタブ(自作)を codex の名前で PATH に置いて代替した。

確かめたこと 結果
codex-cli 0.163.0 を入れ、ログインせずに実行 codex login status は Not logged in。それでも codex exec は session id を出してから接続を試み、この環境ではプロキシが api.openai.com を 403 で拒否して再接続待ちのまま止まった(120秒で打ち切り)
page1 の呼び出し(スタブで記録) codex exec --skip-git-repo-check、標準入力は 39,842 バイト(OMAY 30,217 + OMNY 7,428 + 指示文)
page2 の呼び出し codex exec resume --skip-git-repo-check <page1のUUID> -、標準入力は 1,898 バイト
page2 で2枚描かれた場合 後の1枚が page2.png、先の1枚が rejected/page2-take1.png に分かれ、終了コード 0
page2 で画像が出なかった場合 「画像が無いページがあるのだ: 2」と出て終了コード 2
deliver.sh で同じ納品先に2回目 「納品先に page1.png が既にあるのだ」で終了コード 3。--force で 0

BEFORE YOU FORGE動かす前に

焼く前に確かめる3つのこと

  1. 1.codex に画像生成できるプランでログインしたか

    作画はこのスキルではなく codex CLI が行う。未ログインでも session id は出た

  2. 2.scripts/*.sh に実行権限を付けたか

    3本とも 100644 で登録されている。clone 直後の ./scripts/forge.sh は Permission denied

  3. 3.終了コードではなくページ数で成否を見るか

    全ページ空振りでも forge.sh は session id まで進む。collect.sh の 2 を見る

出典: 2026-10-16 の実測(codex-cli 0.163.0・Linux x86_64・作画はスタブで代替)

未ログインでも session id が出たことには注意がいる。SKILL.md は「session id の行すら無いときは codex が起動できていない(ログイン切れ等)」と書くが、今回の版ではログインしていなくてもこの行は出た。成否は collect.sh の終了コードと、out/<作品名>/ に並んだページ数で見るのが確実だ。

Claude Code のスキルとしての配置も確かめた。README の手順どおり、空の HOME を用意してコピーした。

cp -r . ~/.claude/skills/manga-forge
head -3 ~/.claude/skills/manga-forge/SKILL.md
# ---
# name: manga-forge
# description: 自然言語の指示から複数ページの漫画を生成する。…

プロジェクト単位の <your-project>/.claude/skills/manga-forge にコピーした場合も、frontmatter は YAML として読め、キーは name と description の2つ、description は124字だった。description の上限の考え方は SKILL.mdのdescriptionは1024字上限|Claude Skill命名規則と公式19本の検査結果 に書いた。cp -r . はリポジトリの .git とサンプル画像(約4.2MB)までスキルフォルダに入れる点も覚えておきたい。

未検証の範囲

  • ・codex による実際の作画と、1ページあたりの所要時間(README の公称は10ページで10〜20分)
  • ・作画に使われる画像生成モデルの名前と料金。リポジトリには「画像生成が使えるプラン」としか書かれていない
  • ・Claude Code 上でスキルが発動し、ネームを書いて forge.sh を呼ぶまでの流れ(Claude Code は起動していない)
  • ・リファレンス画像(-r)と画風の呪文(omay/styles.md)の効き

同梱サンプルを検品する:セリフは一致、コマの位置は最大22mmずれた

作画は動かせなかったので、README が「実物」と書く同梱の2枚(各 1054×1492 ピクセル、A4 と同じ縦横比)を、SKILL.md の検品項目で見た。比べた相手は同梱のネーム sample-2page.omny.yaml だ。

検品項目 結果
ページ番号とヘッダー 右上に 1/2・2/2、左上にタイトル、下端に meta.author の your-name
セリフ フキダシ9個の文がすべてネームと一字一句同じに読めた(目視)
読み順 2ページ目下段は、id 2 の顔のアップが右、id 3 が左。ネームの座標どおり
ネームに無い文字 1ページ目の店頭ポスターと、カップの「バニラ」の文字
コマの高さ 1ページ目の1コマ目は、ネームの y=10〜102mm に対し実画像は約 12〜124mm

コマの位置は、白い余白の行を数えて mm に換算した(1mm ≈ 5.02 ピクセル)。1ページ目の1コマ目は下端が約22mm 下にずれ、そのぶん2・3コマ目が押し下げられていた。2ページ目の大ゴマは逆に約11mm 短い。

これは不具合ではなく仕様だ。OMAY は「bbox をピクセル単位で厳密に再現しようとしてはならない」と書き、docs/pitfalls.md の罠6も「bbox は意図の伝達であって、レイアウトの確定ではない」と説明している。コマを切り抜く、コマ単位で動かすといった後工程に使うなら、ネームの座標ではなく完成原稿から測り直す必要がある。

同梱のネームは仕様の機械的な決まり(page_count とページ数の一致、1ページ6コマ以内、bg の値、フキダシの形の語彙)を自作の検査ですべて満たした。誤った値を入れたネームでは同じ検査がエラーを出すことも確かめている。ただしリポジトリにネームの検査ツールは無い。また、サンプルの schema_version は 10.2、プロンプトのスキーマは 10.31、OMAY は 10.5 で、版の表記がそろっていない。

大本のNyamuru Manga Name Studioとの違い

STUDIO AND FORGE大本との違い

同じ OMNY を、人が編集するか・エージェントが焼くか

Nyamuru Manga Name Studio

ブラウザで動くネーム編集 PWA

  • 人がネームを整える仕様とプロンプトの大本
  • フキダシ内の校正は人の後工程ワークフロー文書で規定

manga-forge

Claude Code スキル+bash 3本

  • ネームから焼きまで任せるpage2以降は session id で resume
  • エージェントが全ページを目視検品気になるページだけ再依頼
出典: 両リポジトリの README(2026-10-16時点)。OMAY は Studio main(2e0e53d)とバイト一致を確認

manga-forge の仕様とプロンプトの大本は、同じ作者のブラウザ用ネーム編集アプリ Nyamuru Manga Name Studio にある。Studio の main(2e0e53d、2026-08-15)と突き合わせると、standard.omay.yaml は1バイトも違わず、ネーム生成プロンプトの差は OMAY へのリンクのパス1行だけだった。

観点 Nyamuru Manga Name Studio manga-forge
形 ブラウザで動くネーム編集 PWA Claude Code スキル+bash 3本
ネームを書く人 人が画面で整える Claude Code が書く(Studio で整えたものも流せる)
作画への渡し方 ワークフロー文書を AI エージェントのプロジェクトに設定 forge.sh が codex に1ページずつ依頼
ページ間の一貫性 ワークフロー文書の指示に任せる page1 の session id を名指しで resume
フキダシ内の校正 人の後工程 エージェントが全ページを目視し、気になるページだけ再依頼
ライセンス MIT(にゃむるたんは CC BY 4.0) MIT(にゃむるたんは CC BY 4.0)

forge 側で足したものとして README が挙げるのは、成果物強制の3行、session id での resume、--skip-git-repo-check、ログの UUID からの回収、そして落とし穴集だ。どれもスクリプトとして読めた。一方で docs/setup.md のトラブル表には「焼いている最中に他の codex を走らせないこと」が残っており、session id 方式なら並走しても混ざらないという docs/pitfalls.md の記述と食い違う。

生成系の Claude Code スキルでは、動画を作る video-shotcraftとは|Agent Skill 動画生成を実際にレンダリングして157枚のカードを数えた も実際に動かして数えている。外部の生成サービスに絵を任せる manga-forge と、手元で描画まで完結する video-shotcraft では、検証できる範囲が違う。

この記事の結論

  • ・向いている人:すでに codex を画像生成できるプランで使っていて、ネームを構造化データで残しながら複数ページの漫画を焼きたい人
  • ・導入の最初の1手:clone したら chmod +x scripts/*.sh。成否は終了コードではなく、回収されたページ数で見る
  • ・待ったほうがよい人:コマ枠の座標をそのまま後工程に使いたい人。作画AIはコマ位置を動かすので、完成原稿から測り直す手間がかかる

参照ソース

・sa-san10/rimochan-nyamuru-manga-forge(公式リポジトリ) — README・SKILL.md・scripts/・docs/pitfalls.md・docs/setup.md・LICENSE(2026-10-16時点、main e1f002c)
・sa-san10/nyamuru-manga-name-studio(大本のネーム編集PWA) — src/content/ の OMAY・生成プロンプト・ワークフロー(main 2e0e53d)
・Codex CLI(OpenAI 公式ドキュメント) — docs/setup.md が案内する作画側の CLI