この記事ではClaude Codeに特化して解説します。Claude Code全般は Claude Code完全ガイド2026:インストールから本番運用まで をご覧ください。

Buttercutとは:Claude Codeを動画エディタにするOSS

Buttercutデモ

Buttercutは「Claude Codeを動画エディタにする」というコンセプトで開発された、MITライセンスのOSSツールだ。 2025年11月に公開され、2026年4月時点で370スター・57フォークを獲得している。

動画編集の現場で最も時間を消費する工程は素材の確認とラフカット作成。数十本のクリップを見返し、使えるシーンを選び、タイムラインに並べるという反復作業をClaude Codeに委譲する仕組みを提供する。

処理は2段階で構成される。まず動画素材を分析して「ライブラリ」を構築し、次にそのライブラリをもとにClaude Codeが編集判断を行い、Final Cut Pro・Premiere Pro・DaVinci Resolve向けのタイムラインXMLを出力する。Claude Code Auto Modeとの組み合わせにより、権限確認を省略した高速バッチ処理も可能だ。

言語構成はRuby(XMLタイムライン生成)とPython(WhisperX音声処理・FFmpegフレーム分析)の混成。Claude Codeのスキルシステムを活用し、ライブラリ作成とラフカット生成の2つのスキルを動的に読み込む設計となっている。


2段階ワークフローの全体像

Buttercutの処理フローを図で整理する。

フェーズ1:ライブラリ作成

graph TD A["動画ファイル群
(指定フォルダ内)"] --> B["WhisperX"] A --> C["FFmpegフレーム抽出"] A --> D["メタデータ抽出"] B --> E["音声トランスクリプト
(タイムスタンプ付き)"] C --> F["ビジュアルトランスクリプト
(シーン記述)"] D --> G["解像度・FPS・コーデック情報"] E --> H["ライブラリ
(構造化素材データベース)"] F --> H G --> H style A fill:#4A90D9,color:#fff style H fill:#50C878,color:#fff

Claude Codeが並列処理を管理し、音声・映像・メタデータを統合したライブラリを自動構築する。

フェーズ2:ラフカット生成

graph TD A["ライブラリ + 編集指示
(自然言語)"] --> B["構成決定
時系列 / テーマ別 / フック型"] A --> C["尺の決定
1-2分 / 3-5分 / 6-10分"] A --> D["ペース設定
テンポ重視 / 会話調 / シネマティック"] B --> E["タイムラインXML
FCPXML(FCPX)or FCP7 XML"] C --> E D --> E E --> F["エディタにインポート"] F --> G["微調整 → 完成"] style A fill:#4A90D9,color:#fff style E fill:#50C878,color:#fff

ユーザーの自然言語指示とライブラリの分析結果を照合し、Claude Codeがクリップ選択・順序・尺を決定する。


インストール:依存関係と手順

必要な依存関係

公式の docs/installation.md に記載されている必須依存関係は以下の通り。

依存関係 バージョン 用途
Ruby 3.3.6 XMLタイムライン生成・スクリプト実行
Python 3.12.8 WhisperX音声認識処理
FFmpeg 最新版 動画・音声処理
WhisperX 最新版 タイムスタンプ付き音声書き起こし

.ruby-version.python-version ファイルが同梱されており、rbenv / pyenv / asdf / mise などの主要バージョンマネージャーと互換性がある。

インストール手順

# 1. リポジトリをクローン
git clone https://github.com/barefootford/buttercut.git && cd buttercut

# 2. Claude Codeを起動(権限確認省略オプションあり)
claude
# または高速処理モード(リスクを理解した上で使用)
claude --dangerously-skip-permissions

# 3. Claude Codeにインストールを指示
> Install ButterCut

Claude Codeがシステムをチェックし、未インストールの依存関係(Ruby・Python・FFmpeg・WhisperX)を自動でインストールする。

インストール確認コマンド
依存関係の確認は以下のコマンドで行える。問題があれば出力に詳細が表示される。
ruby .claude/skills/setup/verify_install.rb

手動インストールの詳細手順は docs/installation.md に記載されている。


ライブラリの作成:動画素材を分析する

インストール完了後、Claude Codeに対話形式でライブラリ作成を指示する。公式READMEに掲載されている対話例は以下の通り。

You: "I want to build a new library"

Claude: [Guides you through library setup and asks for details]

You:
  - Library name: "wedding"
  - Video location: "/path/to/videos"
  - Language: "English"

Claude: [Automatically processes all videos]
  ✓ Creates library structure
  ✓ Transcribes audio with WhisperX
  ✓ Analyzes video frames
  ✓ Generates visual transcripts

Result: Full footage analysis ready for rough cut creation

Claude Codeが並列処理を管理し、指定フォルダ内のすべての動画に対して音声書き起こし・フレーム分析・メタデータ抽出を自動実行する。処理完了後、ライブラリはラフカット生成に使える状態になる。

GPU推奨
WhisperXの音声認識はGPU環境で大幅に高速化される。CPU環境でも動作するが、長尺動画の処理では時間がかかる。大量の素材を処理する場合はGPU搭載マシンでの実行を推奨する。

ラフカット生成:自然言語で編集を指示する

ライブラリ構築後、Claude Codeに自然言語でラフカットの方針を指示する。公式READMEの対話例では、3つの質問への回答でラフカットが生成される。

You: "Let's create a new roughcut"

Claude: [Analyzes footage and asks]
        What should this roughcut focus on?
        - Full story
        - Just the meetup coverage
        - Short teaser sequence

You: "Just the meetup coverage"

Claude: [Asks 3 preference questions]
        - Narrative structure? (chronological, thematic, hook-based)
        - Target duration? (1-2 min, 3-5 min, 6-10 min)
        - Pacing style? (fast & punchy, conversational, cinematic)

You: "Start with presentations (5 sec clips), then interviews,
      then my closing reflection. 3-5 minutes, conversational pacing."

Claude: [Asks which video editor you want to use]
        - Final Cut Pro X
        - Adobe Premiere Pro
        - DaVinci Resolve

You: "Final Cut Pro X"

Claude: [Creates roughcut with editorial decisions]
        ✓ Combined visual transcripts
        ✓ Selected 29 clips (4:32 total)
        ✓ Exported to FCPXML

Result: Ready-to-import timeline at:
        libraries/[library]/roughcuts/[name]_[datetime].fcpxml

出力されたXMLファイルをFinal Cut Pro・Premiere Pro・DaVinci Resolveにインポートし、そこから微調整を加える形が基本的な使い方だ。


RubyライブラリとしてXMLを直接生成する

Claude Codeを介さずにRubyライブラリとして直接XMLを生成することも可能だ。docs/basic-xml-generation.md に記載されているコード例は以下の通り。

require 'buttercut'

# 3つのクリップからなるタイムラインを生成
videos = [
  { path: '/path/to/video1.mp4', duration: 3.0 },
  { path: '/path/to/video2.mp4', duration: 3.0, start_at: 30.0 },
  { path: '/path/to/video3.mp4', duration: 3.0, start_at: 2.0 }
]

# Final Cut Pro X向けタイムライン
fcpx_generator = ButterCut.new(videos, editor: :fcpx)
fcpx_generator.save('timeline.fcpxml')

# Final Cut Pro 7 / Adobe Premiere / DaVinci Resolve向けタイムライン
fcp7_generator = ButterCut.new(videos, editor: :fcp7)
fcp7_generator.save('timeline.xml')

各クリップで指定できるオプションは3つ。

オプション 説明
path 文字列(必須) 動画ファイルの絶対パス
start_at Float(任意) ソースファイルの開始位置(秒)。省略時は0.0
duration Float(任意) 使用する尺(秒)。省略時はstart_at以降の全体

start_atduration は最も近いフレーム境界に自動丸めされるため、フレーム単位の精度で出力される。

出力形式の選び方
:fcpx → FCPXML(Final Cut Pro X専用)
:fcp7 → FCP7 XML(Adobe Premiere Pro・DaVinci Resolve・Final Cut Pro 7で使用可能)
DaVinci ResolveやPremiereを使う場合は :fcp7 を選択する。

この直接生成機能は、バッチ処理スクリプトやCI/CDパイプラインにButtercutを組み込む際に有用だ。Insanely Fast Whisperの音声認識高速化と組み合わせれば、大量の動画素材のトランスクリプト生成も高速化できる。


他ツールとの比較

Buttercutの差別化ポイントは「編集判断そのものをAIが行う」こと。

項目 Buttercut Descript Adobe Podcast Runway ML
操作方式 CLI+自然言語 GUI+テキスト編集 GUI+AI機能 GUI+プロンプト
AI活用範囲 編集判断・クリップ選択・タイムライン生成 文字起こしベースの編集 ノイズ除去・文字起こし 映像生成・スタイル変換
出力形式 FCPXML / FCP7 XML 独自+エクスポート 音声のみ 映像ファイル
プロ編集ソフト連携 Final Cut / Premiere / Resolve Premiere連携あり なし なし
ライセンス MIT(OSS) 商用SaaS 商用SaaS 商用SaaS
料金 無料+Claude API従量課金 月額$24〜 無料〜有料 月額$12〜
バッチ処理 複数動画の一括ライブラリ化が可能 1ファイルずつ 1ファイルずつ 1ファイルずつ

Descriptは文字起こしをベースに人間が編集する補助ツール、Runway MLは映像生成が主目的。Buttercutは「素材の分析→クリップ選択→タイムライン構成」という編集ワークフロー全体をClaude Codeに委任する点で用途が異なる。

Claude Codeベストプラクティスガイドを押さえておくと、Buttercutの対話形式をより効果的に活用できる。


制限事項と注意点

現時点での主な制限
  • プロジェクトファイルのインポート非対応:既存の.prproj(Premiere)/ .drp(DaVinci)/ .fcpbundle(Final Cut)は読み込めない。動画素材から新規にライブラリを構築する必要がある
  • カット編集が中心:クリップの選択と配置(カット編集)が主機能。高度なエフェクト・トランジションの自動適用は現時点で非対応
  • リアルタイムプレビュー非対応:生成結果はXMLファイルとして出力され、確認には対応エディタでのインポートが必要
  • Claude APIコスト:音声・映像の分析をClaudeに送るため、長尺動画や大量素材ではAPIコストが増大する。処理する動画量に応じてコストを事前に見積もること

PRやIssueを歓迎しているが、公式のContributing guidelineには「プルリクエストやIssueの本文はエージェント(Claude Code等)を使わず自分で書くこと」と明記されている。


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参照ソース