- cloudflare/skillsはAIエージェントにCloudflare開発を丸ごと教える8モジュールの公式スキル集
- Workers・KV・R2・D1・Durable Objects・Hyperdrive・Queues・AI Gatewayの各スキル詳細とAIへの伝達内容を可視化
- Claude Code・Cursorでの導入手順、スキル導入前後でのAI回答品質の差、他Skills系リポジトリとの位置づけまで網羅
cloudflare/skillsとは——AIにCloudflare開発を丸ごと教えるパッケージ
「CloudflareのD1はどう使えばいい?」「Durable Objectsで何をやってはいけないか?」「Agents SDKでエージェントを作るには?」——こうした質問に対して、AIが正確な答えを出せないことがある。Cloudflareのサービスは多岐にわたり、APIの作法もCloudflare固有だ。汎用LLMの学習データには十分な知識が含まれていないケースも多い。
これを解決するのが、2025年12月10日にCloudflareが公式で公開した cloudflare/skills だ。
AIエージェントにCloudflareプラットフォームでの開発方法を「教える」ためのスキルパックで、Claude Code・Cursor・その他AIコーディングツールに対応する。
2026年10月10日にcloneして数えたところ、17種類のSKILL.md(スキルモジュール)と、Cloudflare APIとドキュメントにアクセスするリモートMCPサーバー1本(https://mcp.cloudflare.com/mcp)をセットで提供している。公開当初(2025年12月)は8スキル・MCP5本だったが、その後スキルが倍以上に増え、MCPは「メインの1本だけ同梱」に整理された。Apache 2.0ライセンスで、Stars 2,627・Forks 246(2026年8月14日実測)を獲得している。
リポジトリの説明文は一言で本質をついている——”Skills for teaching agents how to build on Cloudflare.”
このリポジトリを使うことで、AIは以下を「知っている」状態になる:
- Cloudflare Workers・Pages・D1・KV・R2・Durable Objects・Vectorizeの使い分け基準
- Wrangler CLIの全コマンドと
wrangler.jsoncの設定構文 - Agents SDKでの状態管理・RPCメソッド・スケジューリングの正しい実装パターン
- 本番稼働環境でやりがちなアンチパターン(メモリ枯渇・シークレットのハードコード等)
- CloudflareのSandbox SDKでAI生成コードをセキュアに実行する方法
Claude Skillsの仕組みとSKILL.mdの構造を理解したい方はこちら。本記事ではcloudflare/skillsのコンテンツと実際の使い方にフォーカスする。
17のスキルモジュール——何を、どれだけ教えるか
cloudflare/skillsは、2026年10月10日時点でskills/配下に17個のスキルを持つ。各スキルはSKILL.mdというMarkdownファイルに、AIが参照すべき知識・コマンド・設計パターン・アンチパターンを詰め込んだ「専門知識パッケージ」だ。READMEによれば、スキルは会話内容に応じて自動ロードされる。
2026年10月10日にcloneして、SKILL.mdのバイト数を実測した。
| スキル | サイズ | 主な内容 |
|---|---|---|
| turnstile-spin | 28,689B | Turnstileの導入・修復・移行、サーバー側Siteverify |
| cloudflare | 26,725B | 製品選択の案内役。該当スキルとドキュメントへ誘導する |
| cloudflare-one | 23,724B | Access・Gateway・WARP・Tunnel・DLP・CASBなどZero Trust設計 |
| cloudflare-one-migrations | 12,495B | Zscaler・Palo Alto・旧VPN/SWGからの移行評価とポリシー対応付け |
| agents-sdk | 12,088B | 状態管理・RPC・スケジューリング・MCPサーバー・メール・ストリーミングチャット |
| wrangler | 11,176B | Workers・KV・R2・D1・Vectorize・Queues・Workflowsのデプロイと管理 |
| sandbox-stable | 9,309B | 安定版@cloudflare/sandboxでのアプリ構築 |
| web-perf | 8,259B | Core Web Vitals診断・レンダリングブロック要因・ネットワークチェーン |
| sandbox-migrate-to-next | 7,902B | 安定版から@cloudflare/sandbox@next(SDK 1.0プレビュー)への移行 |
| sandbox-next | 6,734B | @cloudflare/sandbox@nextでの構築(新規プロジェクト推奨) |
| cloudflare-email-service | 6,619B | Email Sending・Email Routing・配信設定 |
| durable-objects | 6,040B | 状態の協調・RPC・SQLite・アラーム・WebSocket |
| workers-best-practices | 5,547B | 本番Workersの記述・レビュー・設定 |
| basin | 2,738B | Basin Pipelines・Catalog・SQLによる分析ワークフロー |
| nextjs-on-cloudflare | 2,711B | vinextによるNext.js on Workers |
| k2 | 2,174B | K2 Streams(耐久ログ)のHTTP/Worker producerとconsumer |
| workers-profiling | 1,976B | デプロイ済みWorkers・DOのCPU/メモリ割り当てのプロファイル |
公開当初の8スキルから、Sandbox系の3分割(next・stable・移行)、Cloudflare One系、Turnstile、Basin、K2、Next.js対応が加わった。サイズは大小まちまちで、小さいスキルは「詳細はアップストリームのドキュメントへ誘導する」薄い入口として機能している。
cloudflareスキル:製品選択の案内役と「prefer retrieval over pre-training」
cloudflare/skillsの設計思想は、agents-sdk・durable-objects・web-perfの各SKILL.mdに共通して書かれた一文に表れている(実ファイルで確認)。
“Prefer retrieval over pre-training”
AIの学習データは古い可能性があるので、Cloudflareのサービスについては常に最新の公式ドキュメントを取りに行け、という指示だ。
cloudflareスキル自体は「製品選択の案内役」として書かれている。ユーザーがCloudflare製品名を挙げなくても、「アップロード」「バックグラウンドジョブ」「ドキュメント検索」といった要件からR2・Queues・Workflows・AI Searchなどを提案し、該当スキルや公式ドキュメントへ誘導する。新規サイトやアプリにはWorkersとWorkers Static Assetsを推奨し、既存のPagesデプロイは無関係な保守作業中は触らない方針も明記されている。
もう一つ新しい点が、ベータ版の新CLI cf への分岐だ。プロジェクトにcloudflare.config.tsがあるか、ユーザーがcfの使用を指示した場合、このスキルはWranglerの手順を読まず、wranglerスキルもロードせず、cfの公式ドキュメントに従うよう指示している。Wrangler設定ファイルだけがあるプロジェクトでcf dev・cf build・cf deployを実行しないことも明記されている。
Wranglerスキル:デプロイ作業の中心(11,176バイト)
WranglerスキルのSKILL.mdは11,176バイト(4月時点は18,151バイトだったが、その後整理され縮小している)。CLIコマンドと、Workers・KV・R2・D1・Vectorize・Queues・Workflowsの管理、ローカル開発・Previews・デプロイの設定をカバーする。
# Wranglerのコアコマンド(スキルがAIに教える内容の一部)
npx wrangler dev # ローカル開発サーバーを起動
npx wrangler deploy # CloudflareにWorkerをデプロイ
npx wrangler types # TypeScript型定義を生成
npx wrangler tail # ライブログのストリーミング
npx wrangler d1 create my-db # D1データベースを作成
npx wrangler kv namespace create my-kv # KV Namespaceを作成
npx wrangler r2 bucket create my-bucket # R2バケットを作成
npx wrangler secret put API_KEY # シークレットを設定
このスキルがあることで、AIは「Cloudflareに何かをデプロイするには?」という質問に対して、正確なコマンド構文と設定ファイルの書き方を即座に回答できる。
Dynamic require エラーが発生した場合の修正方法もスキル内に明記されている。
{"compatibility_flags": ["nodejs_compat"], "compatibility_date": "YYYY-MM-DD"}をwrangler.jsoncに追加することで解決できる。
インストール方法:Claude Code・Cursor・その他ツール
Claude Code へのプラグイン導入
READMEの手順は、プラグインマーケットプレイスを追加してからインストールする2ステップだ。Claude Code内で実行する。
/plugin marketplace add cloudflare/skills
/plugin install cloudflare@cloudflare
プラグインにはスキル群に加えて、メインのCloudflare MCPサーバーも含まれる。なお4月時点の記事で紹介していたclaude plugin install cloudflareと/cloudflare:build-agent・/cloudflare:build-mcpコマンドは、2026年10月10日時点のリポジトリに該当する記述・ファイルがなく(grepで0件)、現行の導入手順としては扱わない。CodexやVS Code(GitHub Copilot)にもネイティブ導入手順がREADMEにある。
Cursor への導入
READMEによれば、Cursor Marketplaceからインストールするか、Settings > Rules > Add Rule > Remote Rule (Github) にcloudflare/skillsを指定する。手動の場合はリポジトリをcloneし、skills/配下のスキルフォルダを~/.cursor/skills/へコピーする。
npx CLIでの導入(任意のAIツール)
Claude Code・Cursor以外のAIコーディングツールにも対応している:
# 現在のプロジェクトにスキルをコピー
npx skills add https://github.com/cloudflare/skills
スキルだけを入れたい場合の方法で、npx skills(skills.sh)CLIが各エージェントのスキルディレクトリへ配置する。MCPサーバーは別途設定が必要だ(次節)。なお配置先の挙動は今回未検証。
MCPサーバーの設定
現行リポジトリのmcp.jsonが同梱するのは、メインのCloudflare MCPサーバー1本だけだ。READMEには「Code ModeのMCPサーバー経由でCloudflare APIと最新の開発者ドキュメントにアクセスする」「製品別MCPサーバーは別に公開されているが、このプラグインは意図的に同梱しない」と書かれている。4月時点の記事で5本(api・docs・bindings・builds・observability)と紹介していた構成からの変更点だ。
プラグインを使わず手動で追加する場合は、mcp.json相当の定義をそのまま使う(実ファイルの内容)。
{
"mcpServers": {
"cloudflare": {
"type": "streamable-http",
"url": "https://mcp.cloudflare.com/mcp"
}
}
}
Cloudflare APIを操作するMCPサーバーは、認証(OAuthまたはAPIトークン)が必要になる場合がある。今回は認証付きの接続までは試していない(未検証)。認証要件は公式ドキュメントを確認すること。
アーキテクチャ:スキルとMCPサーバーの役割分担
cloudflare/skillsを正しく理解するには、「スキル(知識ベース)」と「MCPサーバー(実行手段)」の役割分担を理解することが重要だ。
スキル(知識)+MCPサーバー(実行能力)の組み合わせが、cloudflare/skillsの設計上の核心だ。スキルがAIに「何をどうすべきか」を教え、MCPサーバーがAIに「実際にCloudflareを操作する手段」を与える。MCPの仕組みについて詳しくはこちら。
他のSkillsリポジトリがスキルのみを提供するのに対し、cloudflare/skillsがMCPサーバーをセットで提供している点は際立った特徴だ。
他のSkills系リポジトリとの比較
cloudflare/skillsと同じエコシステムにある主要なSkillsリポジトリを比較する。
| リポジトリ | 運営 | Stars | 対象ドメイン | スキル数 | MCP統合 | ライセンス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| anthropics/skills | Anthropic公式 | 10万+ | 汎用(PDF・Excel・PPTX等) | 20+ | なし | Apache 2.0 |
| mattpocock/skills | Matt Pocock | 14,500+ | TypeScript開発・TDD・PRD | 18 | なし | MIT |
| cloudflare/skills | Cloudflare公式 | 2,627(8/14実測) | Cloudflareプラットフォーム | 17(10/10実測) | あり(1サーバー) | Apache 2.0 |
| addy-osmani/agent-skills | Addy Osmani | 数百 | Web開発全般 | 15+ | なし | MIT |
Anthropic公式スキル集との違い
Anthropic公式スキル集「anthropics/skills」は汎用ドキュメント処理(PDF生成・Excelマクロ・PPTX作成等)に特化しており、開発プラットフォーム固有の知識は持たない。cloudflare/skillsとは役割が完全に異なるため、両方同時にインストールして使うことができる。
mattpocock/skillsとの違い
mattpocock/skillsはTypeScript開発プロセス(TDD・リファクタリング計画・PR説明文生成等)に特化する。開発ワークフロー管理のスキルとして非常に優れているが、Cloudflare固有のAPI知識は持たない。cloudflareプロジェクトには両方を入れるのが理想的だ。
cloudflare/skillsの独自性
3点が際立つ:
- ファーストパーティ製: Cloudflare自身が作成・メンテナンスしているため、API変更への追従が速い
- MCPサーバーとのセット: スキル(知識)に加えて、Cloudflareリソースを直接操作できるMCPサーバーも同梱
- 「prefer retrieval」哲学: 知識をスキルに静的に埋め込むのではなく、公式ドキュメントへの参照を優先する設計
Cloudflare Workersプロジェクトには cloudflare/skills を必須導入する。
TypeScript開発全般には mattpocock/skills を追加する。
ドキュメント生成やスプレッドシート処理が必要なら anthropics/skills を追加する。
3つを同時にインストールしても競合しない。
実践:agents-sdkスキルで何ができるか
4月時点の記事は専用コマンド2つを軸にしていたが、現行リポジトリにコマンドはない。以下はスキルが自動ロードされる前提で、エージェントとMCPサーバーを作るときにAIへ渡る知識の例だ(手順中のテンプレートは4月時点の記載で、今回は再実行していない=未検証)。
AIエージェントの新規構築
Agents SDKスキルの知識を活用して、Cloudflare上で動くAIエージェントをゼロから構築する。「Cloudflareでエージェントを作りたい」と頼むと、AIは以下のような手順を踏む:
# ステップ1: スターターテンプレートで初期化
npx create-cloudflare@latest my-agent --template cloudflare/agents-starter
# ステップ2: 依存関係のインストール
cd my-agent && npm install
# ステップ3: ローカルで動作確認
npx wrangler dev
AIはAgents SDKスキルの知識をもとに、エージェントタイプの選択(Agent・AIChatAgent・Think)、wrangler.jsoncのAIバインディング設定、Reactフック(useAgent・useAgentChat)の実装まで自動的にガイドする。
3種類のエージェントアーキテクチャのコードサンプルをスキルが提供している:
// AIChatAgent: ストリーミング・ツール・永続化対応のチャットエージェント
import { AIChatAgent } from "agents";
export class MyChatAgent extends AIChatAgent {
async onMessage(message: Message) {
return this.reply("Hello from Cloudflare!");
}
}
// Agent: カスタム状態管理・RPC・スケジューリング対応
import { Agent } from "agents";
export class MyAgent extends Agent<Env, State> {
// @callable() デコレータでRPCメソッドを公開
@callable()
async processTask(input: string): Promise<string> {
this.setState({ lastInput: input, updatedAt: Date.now() });
return await processWithAI(input);
}
// スケジュール実行
async alarm() {
const state = this.state;
await this.schedule(3600, "runPeriodicTask");
}
}
Workers上のMCPサーバー構築
agents-sdkスキルは、MCPサーバーの構築も対象に含む。Streamable HTTPトランスポートを使ったMCPサーバーをWorkers上で外部公開できる:
# 初期化
npx create-cloudflare@latest my-mcp --template cloudflare/agents-starter
cd my-mcp
# MCP SDKとZodをインストール
npm install @modelcontextprotocol/sdk zod
// McpAgentを継承してMCPサーバーを実装
import { McpAgent } from "agents/mcp";
import { McpServer } from "@modelcontextprotocol/sdk/server/mcp.js";
import { z } from "zod";
export class MyMCP extends McpAgent {
server = new McpServer({ name: "my-mcp", version: "1.0.0" });
async init() {
// Zodスキーマでツールの入出力を定義
this.server.tool(
"search_db",
{ query: z.string(), limit: z.number().optional() },
async ({ query, limit = 10 }) => ({
content: [{ type: "text", text: await searchDatabase(query, limit) }]
})
);
}
}
// Streamable HTTPトランスポートでサーブ(外部公開推奨)
export default MyMCP.serve("/mcp");
# Cloudflareにデプロイ
npx wrangler deploy
これで https://my-mcp.YOUR_SUBDOMAIN.workers.dev/mcp でアクセス可能なMCPサーバーが完成する。
Workers上のMCPサーバーはサーバーレスで動くため、インフラ管理が不要だ。Claude Desktopや他のMCPクライアントからURLを指定するだけで接続できる。
各スキルの詳細:何がAIに伝わるか
Durable ObjectsスキルのアンチパターンをAIが学ぶ
Durable ObjectsスキルはDOの設計原則だけでなく、明示的に「アンチパターン」を教える点が実用的だ。スキルには5つのアンチパターンが列挙されており、AIがコード生成時に自動的に回避するようになる:
// NG: グローバルDurable Objectの使用(スケールしない)
const globalDO = env.MY_DO.idFromName("global");
// OK: ユーザーやリソースごとに1インスタンス
const userDO = env.MY_DO.idFromName(`user-${userId}`);
const chatRoomDO = env.MY_DO.idFromName(`room-${roomId}`);
// NG: I/Oをまたいだロックの保持(デッドロックの危険)
await this.ctx.storage.put("lock", true);
await fetch("https://api.example.com/slow"); // I/O
await this.ctx.storage.delete("lock");
// OK: SQLiteのトランザクションでアトミック操作
await this.ctx.storage.sql.exec(`
INSERT INTO events (id, data) VALUES (?, ?)
`, eventId, JSON.stringify(data));
このアンチパターンの明示化によって、AIがCloudflare固有のアーキテクチャ制約を理解した上でコード生成を行えるようになる。Durable Objectsは設計を誤るとスケールしないアーキテクチャになりやすいため、これは実装上の重要な価値だ。
Workers Best Practicesスキル:本番事故を防ぐコードレビュー
Workers Best PracticesスキルはAIに「やってはいけないこと」を教えることに重点を置く。スキルがフラグを立てる代表的なアンチパターン:
// NG: unbounded response.text() — 大きなレスポンスでメモリ枯渇
const body = await response.text();
// OK: ストリーミング処理でメモリを節約
return new Response(response.body, { headers: response.headers });
// NG: ハードコードされたシークレット — セキュリティリスク
const apiKey = "sk-prod-xxxxxxxxxxxx";
// OK: Workers Secretsから環境変数として取得
const apiKey = env.API_KEY;
// NG: モジュールスコープの可変状態 — リクエスト間でデータが漏れる
let requestCount = 0; // Workerインスタンス間で共有される危険
// OK: リクエストスコープで状態を管理
export default {
async fetch(req: Request, env: Env): Promise<Response> {
let requestCount = 0; // リクエストごとにリセット
// ...
}
};
// NG: 素のfetch()使用 — バインディングが使えるのに外部APIを叩く
const data = await fetch("https://api.cloudflare.com/client/v4/kv").then(r => r.json());
// OK: バインディング経由でCloudflareサービスを使う
const data = await env.MY_KV.get("key");
Sandbox SDKスキル:AIが生成したコードを安全に実行
Cloudflare Sandboxes GAと連携する形で、Sandbox SDKスキルはAI生成コードのセキュアな実行パターンを教える。
スキルが提供する2つの主要パターン:
// パターン1: exec() — シェルコマンド直接実行
import { Sandbox } from "@cloudflare/sandbox";
const sandbox = await Sandbox.create(env);
const result = await sandbox.exec("python3 script.py --input data.json");
console.log(result.stdout);
await sandbox.destroy();
// パターン2: runCode() — LLM生成コードの実行(永続状態・リッチ出力)
const sandbox = await Sandbox.create(env);
// AIが生成したコードを安全なコンテナ内で実行
const result = await sandbox.runCode({
language: "python",
code: `
import json
import statistics
data = [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]
result = {
"mean": statistics.mean(data),
"median": statistics.median(data),
"stdev": round(statistics.stdev(data), 2)
}
print(json.dumps(result, ensure_ascii=False))
`
});
await sandbox.destroy();
return Response.json({ output: result.output });
ローカル開発にはDockerが必要だ。wrangler.jsoncにDurable ObjectsバインディングとContainersバインディングの両方を設定する必要もある。また、WorkerエントリポイントからSandboxクラスをre-exportする必要がある。詳細は公式ドキュメントを参照。
Web Performanceスキル:Chrome DevTools MCPとの連携
Web PerformanceスキルはCore Web Vitals(LCP・INP・CLS)の診断とCloudflareの最適化手法をAIに教える。このスキルの注目点は、Chrome DevTools MCPとの連携を前提に設計されている点だ。
Chrome DevTools MCPをセットアップした環境では、AIがChrome経由でサイトのパフォーマンスを実測し、Cloudflare固有の最適化(キャッシュ設定・画像最適化・ミニファイ)を提案する——という自動化パイプラインが構築できる。
AIが診断できる項目:
| カテゴリ | 診断内容 |
|---|---|
| Core Web Vitals | LCP・INP・CLS の実測値と改善提案 |
| 補助指標 | FCP・TBT・Speed Index |
| ネットワーク | ボトルネック・依存チェーン |
| キャッシング | Cloudflareキャッシュ設定の最適化 |
| アクセシビリティ | ARIA・コントラスト・フォーカス |
| コードベース | フレームワーク検出・tree-shaking・デッドコード |
Cloudflare Browser Rendering CDPエンドポイントを使えば、ローカルChromeなしでもリモートブラウザからパフォーマンス診断が可能になる。Cloudflareエコシステム内で完結する構成だ。
Cloudflare Email Serviceスキル:2025年新サービス対応
Cloudflare Email Serviceは2025年ローンチの比較的新しいサービスだ。このスキルはWorkerからのメール送信(バインディング経由・REST API経由の両方)と受信ルーティング設定を教える:
// Workers バインディング経由でメール送信
import { EmailMessage } from "cloudflare:email";
export default {
async fetch(req: Request, env: Env): Promise<Response> {
const msg = new EmailMessage(
"[email protected]", // From(Email Routing設定済みのアドレス)
"[email protected]", // To
{
subject: "Cloudflare Workersから送信",
text: "テキスト本文",
html: "<p>HTMLも送れる</p>"
}
);
await env.EMAIL_BINDING.send(msg);
return new Response("送信完了", { status: 200 });
}
};
スキル内には「Launched in 2025, rapidly evolving product」と明記されており、API変更への注意が促されている。
スキル導入前後でAIの回答はどう変わるか
Cloudflare開発でよくある質問に対して、スキル導入前後でAIの回答がどう変わるかを整理する。
| 質問 | スキルなし | スキルあり |
|---|---|---|
| 「WorkersでSQLiteを使いたい」 | 汎用SQLiteライブラリ(libsql等)を提案する可能性がある | D1(Cloudflare’s managed SQLite)を即座に提案し、wrangler d1 createとwrangler.jsoncのバインディング設定を正確に示す |
| 「ステートフルなWebSocketサーバーを作りたい」 | 汎用Node.js実装を提案する可能性がある | Durable Objects+WebSocket APIを提案し、getByName()によるルーティングと正しいDO設計原則(ユーザーごとに1インスタンス)を示す |
| 「AIエージェントに永続メモリを持たせたい」 | LangChain等のサードパーティを提案する可能性がある | Agents SDKのsetState()/getState()と、SQLite Storageによる永続化の正確な実装を示す |
| 「コードをデプロイしたい」 | 基本的なwrangler deployのみ提案 |
wrangler.jsonc全設定・環境変数・シークレット管理・バージョニングまで含めた完全な手順を示す |
| 「AIが生成したコードを安全に実行したい」 | サードパーティのサンドボックスサービスを提案する可能性がある | Cloudflare Sandbox SDKのrunCode()パターンと、Docker・wrangler.jsonc設定まで含めた実装を示す |
Agent Skillsエコシステムにおけるcloudflare/skillsの位置づけ
Claude Skillsの仕組み解説では、Skillsエコシステムが「基盤スキル・パートナースキル・エンタープライズスキル」の3層で構成されると説明されている。cloudflare/skillsはその「パートナースキル」層に位置する——Cloudflareが自社の開発プラットフォームとClaude Codeを繋ぐために提供する公式スキルだ。
2025年12月の公開以降、Cloudflare・Browserbase・NotionといったパートナーがSkillsエコシステムに参加している。cloudflare/skillsはその中でも規模・品質・MCPサーバーとの統合という点で際立った存在だ。
MCPサーバーとスキルの関係についてはAnthropicのビジョンとも一致する:MCPは「外部世界への接続」、Skillsは「専門知識」——2つは競合ではなく補完関係だ。cloudflare/skillsはこの組み合わせを一つのパッケージとして提供している点で、エコシステム全体のリファレンス実装とも言える。
まとめ
cloudflare/skillsは、Cloudflare Workers・Durable Objects・Agents SDK・Wrangler CLIを使った開発にAIコーディングツールを活用するすべての開発者が導入すべきスキルパックだ。
インストールはclaude plugin install cloudflareの1コマンドで完了する。Cloudflare開発を行うプロジェクトには迷わず導入して構わない。
推奨シーン:
- Cloudflare Workers・Pages・D1・KV・R2を使ったプロジェクト全般
- Cloudflare Agents SDKでAIエージェントを構築するケース
- MCP対応のサーバーレスサービスをWorkers上に構築するケース
- Sandbox SDKでAI生成コードをセキュアに実行するアプリケーション開発
- Cloudflare固有サービスのコード品質をAIにレビューさせたいケース
注意点:
- 構成の変動が大きい。半年でスキルは8から17へ増え、専用コマンドは消え、MCPは5本から1本になった。4月時点のブログ記事や手順は現行と合わない可能性がある
- 新CLI
cfはベータで、cloudflareスキル自身が「コマンドや設定は安定版までに変わりうる」と明記している - Sandbox系は
@cloudflare/sandbox@next(SDK 1.0プレビュー)と安定版でスキルが分かれており、どちらを使うか先に決める必要がある - タグ付きリリースがなくバージョン固定ができない。チームで揃えるならコミットハッシュを記録する
今後の展望:2026年10月10日にcloneした時点で最新コミットはその日付であり、活発にメンテナンスされている。製品が増えるたびにスキルが追加される傾向が半年で確認できたため、導入後も定期的な更新確認が必要になる。
参照ソース
- cloudflare/skills — GitHub公式リポジトリ
- Cloudflare Agents SDK 公式ドキュメント
- Cloudflare Workers 公式ドキュメント
- Cloudflare MCP サーバー(mcp.cloudflare.com)
- Cloudflare Sandbox SDK ドキュメント
実測データ(2026-10-10 時点)
| 項目 | 実測値 |
|---|---|
| リポジトリ | cloudflare/skills(Cloudflare公式org) |
| スキル数 | 17(skills/配下のSKILL.md、git clone --depth 1で実測) |
| 同梱MCP | 1本(mcp.jsonのcloudflare、https://mcp.cloudflare.com/mcp) |
| プラグイン版 | plugin.json version 1.0.2 |
| スター / fork | 2,627 / 246(2026-08-14実測。10月分は未取得) |
| ライセンス | Apache-2.0(LICENSEファイルを確認) |
| タグ付きリリース | なし(git tagが空。mainを直接参照する運用) |
| 直近コミット | 2026-10-10 |
比較表に挙げた anthropics/skills が10万★規模であるのに対し、cloudflare/skills は2,627★と桁が2つ違う。ただしこれは人気の優劣というより対象範囲の差である。前者はPDF・Excel・PPTXなど汎用作業を広くカバーするのに対し、後者は Workers・Agents SDK・D1・R2 といったCloudflareスタックに閉じた専用スキル集であり、母数となる利用者層がそもそも異なる。
運用上の注意として、タグ付きリリースが存在しないためバージョン固定ができない。git clone した時点の main を参照する形になるので、チームで揃えるならフォークするかコミットハッシュを記録しておきたい。





