teamai-cli(Tencent/teamai-cli・GitHubスター2,138・実質MIT)は、チームのAIエージェント設定をgit経由で同期するCLIです。skills(スキル)・rules(ルール)・MCPサーバ・knowledge(知識)といったものを、Claude Code・Codex・Cursorなど複数のAIツールにまたがって「チーム共通の流儀」として配ります。掲げるスローガンは「Make Every Team AI Native(すべてのチームをAIネイティブに)」。Tencentが2026年4月末に公開し、短期間で活発に育っているプロジェクトです。
AI開発ツールが乱立し、メンバーごとに使うエージェントもスキルもバラバラ——という状況で、teamaiは「設定を1か所に集めて全員へ配る」役割を担います。そこでv0.23.0を実際に入れて、診断・MCP管理・同期の前提を走らせました。結論から言うと、doctorはinit前でもローカルのClaude Code/Cursorの設定を診断してくれた一方、本命のpush/pull同期はチーム用のgitリポジトリが前提で、ドキュメントもCLI出力も英語のみでした。
30秒でわかる teamai-cli
・何をする? チーム共通のskills・rules・MCP・hooksをgitリポジトリで一元管理し、各メンバーのAIツールへ配る
・対応ツール: Claude Code・Codex・Cursorなど10種(機能カバレッジはツールごとに差あり)
・同期の流れ: teamai push → MRレビュー → マージ → 各自の teamai pull(SessionStartフックで自動)
・実測: v0.23.0の doctor はinit前でも動作。本番の同期はチーム用gitリポジトリが前提
・日本語: ドキュメント無し・CLI出力も英語。ただし同期するスキル本文の言語は問わない
・ライセンス/版: 実質MIT(GitHub判定はNOASSERTION)・v0.23.0(2026-09-08)・Tencent公式・活発
チームでClaude Codeを運用する際の土台は、Claude Code|2026年版・インストールからCLAUDE.md・Hooks・本番運用までの実装手引きにまとめています。teamaiはその「本番運用」を複数メンバー・複数ツールへ広げる位置づけのツールです。
teamai-cliとは——「1チーム・1ハーネス・全エージェント」
teamaiの発想は、AIエージェントの設定をチームの共有資産として扱うことです。個人が各自でCLAUDE.mdやスキルを育てるのではなく、skills・rules・docs・hooks・MCPサーバ・環境変数を1つのgitリポジトリに集約し、そこから各メンバーのローカルAIツールへ配布します。
READMEは機能を3層に整理しています。
| 層 | 役割 | CLIでの実装 |
|---|---|---|
| Team Execution | 各エージェントをチームの流儀で動かす | init / pull / push、skills・rules・agents・hooks・MCP・env |
| Team Context | 各エージェントにチームを理解させる | recall・learnings・codebaseグラフ・teamwiki |
| Team Improvement | 実行のたびにチームを改善する | share-learnings・sessions・digest・dashboard |
いま実装が最も手厚いのは1層目の「Team Execution」で、2層・3層は対応ツールが限られます。まずは「チーム共通のスキルとルールを配る」という土台から入るのが実態に合っています。個人が複数ツールのルールを1か所で管理する発想はRulerとは|Claude Code・Cursor・Copilotのルールを1か所で管理する使い方が近く、teamaiはそれをチーム規模でgit同期する位置づけだと捉えると違いが掴めます。
どう同期するのか——push→レビュー→pull
teamaiの同期は、gitのプルリクエスト(マージリクエスト)を必ず挟むのが特徴です。誰かが勝手に全員の設定を書き換えるのではなく、レビューを通ってから配布されます。
~/.claude/skills ・ ~/.codex/skills ・ ~/.cursor/skills …"]
teamai push を実行するとレビュー用のMRが開きます。まだマージされていないMRに対して同じリソースを再度pushすると、新しいMRを作らず既存のMRを更新する作りです。マージされたら、各メンバーの teamai pull が最新を取り込みます。この pull はAIツールのSessionStartフックで自動起動するため、メンバーは「セッションを始めたら勝手に最新のチーム設定になっている」状態になります。対応するgitプロバイダは GitHub・GitLab・GitCode・CNB・TGit・自前gitサービスです。
プロジェクト単位とユーザー単位:teamai init は既定でプロジェクト単位(リソースはプロジェクト配下に入る)、--scope user を付けるとユーザー単位(~/ 配下)に入ります。プロジェクト単位のインストールでは、SessionStartがそのツールのプロジェクトルート(例 <project>/.claude)を必要に応じて作ってからpullします。逆に言えば、素の teamai pull だけでは各ツールのディレクトリを勝手に生やしません。
実測:teamaiを入れて動かす
ここからは手元での実測です。Node.js 22の環境で npm install -g teamai-cli(記事では npx 経由で確認)を使いました。
まずバージョンとコマンド一覧を確認します。
npx -y teamai-cli@latest --version
# => 0.23.0
コマンドは init / push / pull / status / list / skill / members / mcp / hooks / roles / tags / source / dashboard / doctor など多数が並びました。次に、初期化なしで診断コマンドを走らせます。
npx -y teamai-cli@latest doctor
これはinit前でも動き、以下のような診断チェックリストを返しました(抜粋)。
Scope: user
✖ gf CLI is installed → Run `teamai init` to install gf CLI
✖ Local config exists → Run `teamai init` to initialize
✖ teamai hooks in claude settings → Run `teamai hooks inject`
✖ teamai hooks in cursor settings → Run `teamai hooks inject`
✔ Env variables injected in shell profile
注目すべきは、doctorがClaude CodeとCursorの設定ファイルを見て、teamaiのフックが注入済みかを個別に判定している点です。teamaiが「各AIツールの設定に踏み込んで同期する」ツールだと、この診断だけでも伝わります(gf はteamaiが導入するgitプロバイダ用CLI)。
MCPサーバの管理も確認しました。
npx -y teamai-cli@latest mcp --help
# list : チームのMCPサーバとツールごとの導入状況を一覧
# inject : チームのMCPサーバを全AIツールの設定へ注入
# remove : teamai管理のMCPサーバを各AIツール設定から削除
本番の同期はチーム用gitリポジトリが前提で、そこは今回未検証です。 teamai list など多くのコマンドは「teamai is not initialized. Run teamai init first.」で止まり、teamai init <リポジトリURL> には書き込み権限のある共有リポジトリが要ります。本記事で確認できたのは、インストール・バージョン・コマンド体系・doctor・各サブコマンドのヘルプまでです。push→レビュー→pullの一連の流れは、チームリポジトリを用意して別途検証する必要があります。
日本語環境での注意点
日本語で運用するチームが知っておくべき点が2つあります。
1つ目は、ドキュメントもCLI出力も日本語が無いこと。 ドキュメントは英語と簡体中国語の2言語のみで、日本語版はありません。teamai --help や teamai doctor の出力もすべて英語でした。中国語圏(Tencent)発のツールらしく、まず英語と中国語で整備されている段階です。
2つ目は、それでも日本語コンテンツの配布は問題にならないこと。 teamaiが同期するのはskills/rulesなどのMarkdownファイルそのものです。git経由でファイルを配るだけなので、日本語で書いたスキルやルールは中身を問わずそのまま各メンバーへ届きます。つまり「操作するUIは英語だが、配る中身は日本語でよい」という切り分けになります。日本語チームでの導入障壁は、機能そのものより英語ドキュメントを読み解く初期コストにあります。
開発状況と、いま使うかの判断
teamaiはTencent公式で、更新は非常に活発です。最新はv0.23.0(2026年9月8日)、同日だけでも複数のベータがタグ付けされ、2,138スターを集めています。公開が2026年4月末なので、短期間での伸びです。
導入判断の目安はこうです。
- 向く:複数のAIツール(Claude Code・Codex・Cursorなど)を併用し、チームでスキル・ルール・MCPを揃えたい組織。gitのレビューフローに馴染みがあり、SessionStartフックで自動同期する運用に価値を感じるチーム。
- 様子見:単一ツール・少人数で、共有すべき設定がまだ少ないチーム。英語ドキュメントの読解コストを掛けてまで一元管理する必要が薄い場合。まずは手元のスキル管理から始め、共有の必要が出てから導入しても遅くありません。
- 注意:まだv0.23と1.0前で、機能カバレッジがツールごとに差があります。自分のチームが使うツールで、必要な機能(hooks・MCP・dashboardなど)が対応しているかを対応表で確認してから採用してください。
チーム外の資産——他チームの公開スキルやAGENTS.md——を取り込みたい場合は、AGENTS.mdをClaude Codeに読ませる|symlinkと@importの違いとCodex 32KiB上限 で扱った「複数ツール間で設定を橋渡しする」考え方も合わせて押さえておくと、teamaiの立ち位置が掴みやすくなります。
参照ソース
- Tencent/teamai-cli — GitHubリポジトリ(README・対応ツール表・同期フロー。2026-09-09時点でv0.23.0を確認)
- teamai-cli — LICENSE(「licensed under MIT」「追加の制限を課さない」と明記。GitHub自動判定はNOASSERTION)
- 実測:Node.js 22環境でv0.23.0を導入し、
--version/doctor/mcp --helpの挙動、およびlistがinit必須で止まることを確認(2026-09-09)