ECC Claude Code対応版(affaan-m/ECC)は、GitHub上で★264k・fork39.5kという規模に達しているオープンソースのAIエージェントハーネスだ。プラン→実装→テスト→レビュー→検証→記憶→改善という一連の開発プロセスを、68のエージェントと292のスキルとして標準装備し、Claude CodeやCodexなど複数のコーディングエージェント環境で横断的に使えるようにする。ただし注意が要る。当サイトには「ECC(Everything Claude Code)」という別のマニフェスト駆動ハーネスが既に別記事で紹介済みで、名前がそのまま衝突する。本記事ではまず両者を区別したうえで、affaan-m/ECCをClaude Code環境に実際にインストールし、READMEの数字が実機でも再現するかを確認する。

ECCの開発フロー図。計画→実装・テスト・レビュー→記憶・改善の3段階が示されている
affaan-m/ECCが掲げる開発フロー「plan → test → implement → review → verify → remember → improve」(出典: affaan-m/ECC README)
30秒でわかるECC Claude Code対応版(2026-09-21時点)
  • 正体:affaan-m個人が開発するMITライセンスのエージェントハーネス。68エージェント・292スキル・94のレガシーコマンドshimと、フック・ルール・メモリ・AgentShield(セキュリティスキャン)を1パッケージで提供する
  • 何ができる:Claude Codeにプラグインとして導入すると、計画・テスト駆動実装・レビュー・記憶までの型を毎回書き直さずに使える
  • 実測npx [email protected] setup --mode claude-plugin --scope local --hooks standard --yes を実行し、約10秒でローカルスコープへのインストールが完了。インストール先には実際に292スキル・68エージェントのディレクトリが生成され、README記載の数字と一致した
  • 注意:README記載の npx [email protected] setup はそのまま実行すると失敗する(npm公開版は2026-09-21時点で2.2.1が最新)。同名の別OSS「Everything Claude Code」と混同しないこと

Claude Code向けのハーネス設計やエージェント基盤全般の比較は AIエージェントフレームワーク比較2026|LangGraph・CrewAI・Dify等9種をStar数・実コードで検証 にまとめている。個別のハーネスOSSを深掘りする位置づけとして、本記事ではECC Claude Code対応版1本に絞って実測する。

ECC Claude Codeとは——「Everything Claude Code」との判別表

“ECC”は3文字略語ゆえに衝突しやすい。当サイト内でも「ハーネスエンジニアリング入門」の記事(ai/claude/awesome-harness-engineering)で「マニフェストファイルによる設定管理に特化した包括的ハーネス」として別のECC(Everything Claude Code)を紹介済みだ。まずこの2つを区別する。

項目 本記事:affaan-m/ECC 別記事既出:Everything Claude Code
正体 スキル・エージェント・メモリ・セキュリティスキャンの統合ハーネス マニフェストファイルによる設定一元管理ハーネス
リポジトリ https://github.com/affaan-m/ECC 当サイトの既存記事にリンクなし(未特定)
強み Claude Code/Cursor/Codex/OpenCode等、横断対応の広さ 大規模チームでの設定管理・マニフェスト駆動マルチエージェント
ライセンス MIT(LICENSE原文で確認) 未確認
star規模 約264,000 未確認

・両者は開発元もリポジトリも別。「ECC」という略語だけが一致している
・以降、本記事の「ECC」は特に断りがない限りaffaan-m/ECCを指す
・「Everything Claude Code」側のリポジトリ実体は当サイトの既存記事に記載が無く、本記事でも推測でリンクを貼らない

affaan-m/ECCの正体は、READMEの表現を借りると「エージェントに計画・テスト・実装・レビュー・検証・記憶・改善のプロセスを毎回のプロンプトで組み立て直させず、インストール1回で標準装備させる」システムだ。LICENSEファイルの著作権表記は個人名(Affaan Mustafa)1人で、READMEにも「a single maintainer ships weekly across 7 harnesses(単独メンテナが週次で7ハーネスに対応リリースしている)」という記述がある。企業の後ろ盾は確認できず、Discord・GitHub Appも自前運営だ。

読者の3つの問いへの答え
何ができる:Claude Code等に68エージェント・292スキルをまとめて追加し、計画〜レビュー〜記憶の型を標準化する ② 何を解決する:プロンプトごとにルールを書き直す手間と、成功パターンが属人化して再利用されない問題 ③ 何を代替できる:自作のCLAUDE.md運用やカスタムスキル集の一部を代替しうるが、Claude Code限定のSkillOptほど1ツールへの最適化はされていない

仕組み:68エージェント・292スキル・AgentShieldの構成

READMEが公開している内訳表はこうだ。

構成要素 数量 提供するもの
Agents 68 計画・レビュー・ビルド修復・セキュリティ・アーキテクチャ・ドメイン別の専門エージェント
Skills 292 TDD・調査・セキュリティ・ドキュメント・フロントエンド・データ・MLなど
Commands 94(レガシーshim) スキル移行前のコマンド互換エントリポイント
Hooks / Memory ランタイム 実行強制・セッション要約・継続学習・instinct・コンテキスト制御
Rules 選択式 言語・プロジェクト単位で読み込む常時ルール
AgentShield 同梱 プロンプト・フック・MCP設定・権限・シークレット・エージェントファイルのスキャン
flowchart LR A["インストール
ecc-universal setup"] --> B["Claude Codeプラグイン
ecc@ecc"] B --> C["68 Agents"] B --> D["292 Skills"] B --> E["Hooks / Memory"] B --> F["AgentShield
セキュリティスキャン"] C --> G["計画→実装→テスト→レビュー"] D --> G E --> G G --> H["記憶・スキル化"]

対応ハーネスは幅広いが、READMEは対応段階を明確に分けている。「works best with Claude Code today」「supported Codex sync path」「capability-limited adapters for Cursor, OpenCode, Gemini, Zed, GitHub Copilot, Antigravity, Qwen」——つまりClaude CodeとCodexが本命で、それ以外は機能が制限されたアダプター扱いだと明記されている。全ハーネスで同じ体験になるわけではない。

ハーネス 対応段階(README記載) 備考
Claude Code 本命(native ecc@ecc プラグイン) 1つの user/project/local スコープとフックプロファイルを選択
Codex 公式サポート(native marketplace/pluginライフサイクル) フックのレビュー・信頼判断はCodex側に委ねる
Kimi Code 管理対象プロジェクトファイル(./.kimi-code ECCのフック・モデル/プロバイダ設定・認証は対象外
Cursor / OpenCode / Gemini / Zed / GitHub Copilot / Antigravity / Qwen等 capability-limited adapters 個別に ecc install --target ... を使うが、衝突・更新・修復・アンインストールの検証マトリクスは全アダプターで完了していない(README注記)

READMEはさらに「1ハーネスにつきインストール方法は1つだけ選ぶ」ことを明示している。Claude Codeプラグイン+Codexネイティブプラグインの組み合わせは「Works」だが、Claude Codeプラグインと手動フルインストールの併用は「Avoid」に分類されており、同じハーネスに二重導入するとスキル・コマンド・フックが重複しうると注記されている。

実測:ECC Claude Codeを導入して起動確認まで

検証環境:Linux(x86_64)、Node.js v22、Claude Code CLI 2.1.278(READMEの必要条件「Claude Code 2.1以上」を満たす)。READMEの「Install with Claude Code」節(README.md 69〜260行付近)に従い、推奨コマンドから確認した。

まず、README記載のコマンドをそのまま試す。

これは失敗する。npmレジストリを直接確認すると、2026-09-21時点でのpublish済み最新版は2.2.1で、2.2.2はまだ公開されていない。

npm view ecc-universal version
# => 2.2.1

READMEの別項が理由を説明している。「npm releases are cut per version tag, not per commit, so ecc-universal tracks releases (2.1, 2.2, …) rather than every push to main(npmのリリースはコミット単位ではなくバージョンタグ単位で切られるため、gitのmainより遅れる)」。つまりgit clone直後のリポジトリ(package.jsonのバージョンは2.2.2)と、npmで配布中のCLI(2.2.1)はズレて当然という設計だ。READMEのコピペコマンドをそのまま打つと失敗する、という事実は実行して初めて分かった。

公開済みバージョンを指定してガイド付きセットアップを実行する。セットアップコマンドの --help を見ると、フックの適用強度は off / minimal / standard / strict の4段階から選べることが分かる。今回は既定に近い standard を指定した。

npx [email protected] setup \
  --mode claude-plugin --scope local --hooks standard --yes

ローカルスコープへのインストールは約10秒で完了し、「ECC installed ecc@ecc at local scope.」と表示された。インストール後、Claude Codeのプラグインキャッシュ配下に実体が展開され、skills/配下のディレクトリ数は292、agents/配下は68——README記載の数字とディレクトリ実数が一致することを確認した。.claude-plugin/plugin.jsonのバージョンは2.2.2で、npm経由のCLIバージョン(2.2.1)とプラグイン本体のバージョン(2.2.2・git取得)が異なる点も実機で確かめられた。

ECCの実測データ。GitHub star 264k、fork 39.5k、インストール実機確認でのSkills 292、Agents 68
GitHub上の表示値(star/fork)とインストール実機確認で得た数値(Skills/Agents)(出典: GitHub公式ページ・本記事のインストール実測)

検証環境:Linux(x86_64)/Node.js v22/Claude Code CLI 2.1.278/2026-09-21。確認したのは「ローカルスコープへのプラグインインストールが完了し、README記載のスキル数・エージェント数とディレクトリ実数が一致するか」まで。292スキル・68エージェントそれぞれの個別動作、AgentShieldの実スキャン精度、Cursor/Codex等の他ハーネスでの挙動は未検証。

類似ツールとの比較:SkillOpt・Superpowers・Everything Claude Code

すでに当サイトで扱った近縁ツールとの位置関係を整理する(下表の他OSSのstar数・ライセンスは既存記事の記載を転記したもので、本記事で再実測はしていない)。

ハーネスなしの開発とECC導入後の比較図。ルールの書き直し・レビュー属人化・成功パターンの非再利用が、ECC導入後は標準装備のエージェントとフック、メモリによる再利用に置き換わる
ハーネスを使わない運用とECC導入後の違い(出典: affaan-m/ECC README の主張点を要約)
ツール ライセンス 対応範囲 ECCとの違い
ECC(affaan-m) MIT Claude Code/Codex中心+限定アダプター多数 68エージェント・292スキルを1パッケージで横断提供
SkillOpt(Microsoft・既存記事あり) 既存記事参照 Claude Code限定 スキルを学習ループで自動最適化。対象範囲はECCより狭い
Superpowers(既存記事あり) 既存記事参照 Claude Code/Cursor/Codex サブエージェント並列実行が強み。対応ハーネスがECCと重なる
Everything Claude Code(別のECC) 未確認 未確認 マニフェスト駆動の設定管理特化。本記事のECCとは別リポジトリ・別開発元

ブラウザ操作や実SWE-Benchベンチマークを軸にしたエージェントは別系統になる。関連は OpenHands完全ガイド:SWE-Bench 77.6%のOSS AIコーディングエージェント徹底解説Browser-Useの使い方|AIに実ブラウザを操作させるOSSの仕組み・導入・他ツール比較【2026】 を参照。マルチエージェントによるコードレビュー特化の実装例としては CloudflareのAIコードレビューシステム解剖|7専門エージェント並列実行の仕組みと実績 がある。ECCが対応LLM/ハーネスをどう選ばせるかという文脈では、対応モデルの一例として Kimi K2.6とは|Moonshot AIの1兆パラメータ・オープンLLMを使い方まで解説 のようなオープンLLMもECC経由のハーネス構成に組み込み得る。

ライセンスと採用判断:MIT・個人開発・★264kをどう見るか

ECCの立ち位置は「企業製の標準ハーネス」ではなく「個人メンテナが週次で7ハーネスに対応リリースし続けている、急成長中のOSS」。

ライセンスgit clone --depth 1でLICENSE原文を確認し、MIT License(Copyright (c) 2026 Affaan Mustafa)と一致した
開発体制:著作権表記は個人名1人。「170+ contributor」という数字は第三者ブログ(Multiwaresolutions)の記述として存在するが、一次ソースでの裏取りはできていない。ここでは断定せず、出典つきの引用に留める
Anthropicハッカソン受賞:第三者記事にそうした言及があるが、Anthropic公式での確認はできていない。「〜と報じられている」以上の書き方はしない
マネタイズ:OSS本体はMITで無料。プライベートリポジトリ向けの「ECC Pro」(GitHub Appのホステッド版、$19/seat/mo〜)とGitHub Sponsorsが開発資金源とREADMEに明記されている
直近の活性度:最終コミットは2026-09-20、CHANGELOG.mdも2026-09-15更新の2.2.2が最新版で、pre-1.0ではない(2.0.0のメジャーリリースをすでに経ている)
セキュリティ面の位置づけ:同梱のAgentShieldはプロンプト・フック・MCP設定・権限・シークレット・エージェントファイルをスキャン対象とREADMEに明記している。ただし今回の実機検証はプラグインのインストール確認までで、AgentShieldのスキャン精度そのものは未検証

★264k・fork39.5kは、個人発かつ公開から短期間のOSSとしては極めて異例な規模。CHANGELOG.mdで遡って確認できた最古のエントリはv1.8.0(2026-03-04)で、単純計算だとそこから半年強でこの規模に到達したことになる。ただしCHANGELOGの記録開始日はリポジトリそのものの作成日ではなく、成長速度の背景(Trending掲載・受賞報道の影響度など)を裏付ける一次ソースは今回確認できなかった。誇張も過度な疑義も避け、「急成長の背景は未検証」とだけ書いておく。

導入判断の目安: ・向いている:Claude Codeを主軸に、計画〜テスト〜レビューの型を素早く標準化したいチーム・個人開発者
待った方がよい:contributor体制や企業サポートの有無を採用条件にしている組織(現状は個人メンテナ依存が濃い)
様子見でよい:Cursor/OpenCode/Gemini等をメインに使う場合。README自身が「capability-limited adapters」と明記しており、Claude Code/Codexほどの機能は期待できない

導入時の実務的な注意点も1つ触れておく。READMEは「1ハーネスにつきインストール方法は1つに絞る」ことを繰り返し強調しており、すでに複数の方法でインストール済みで挙動が重複している場合は、通常のアップデート手順ではなく専用のリセット/アンインストール手順に進むよう案内している。既存のClaude Code環境にCLAUDE.mdやスキルを手作業で積み上げてきたチームは、ECCを導入する前にその手動構成と重複しないかを確認してからnpx [email protected] setupを実行するのが安全だ。

まとめ

ECC Claude Code対応版(affaan-m/ECC)は、★264k・fork39.5kという規模の割に日本語の第三者解説が存在しない状態だった。実機でインストールすると、READMEが主張する68エージェント・292スキルはディレクトリ数として実際に確認でき、誇張ではなかった。一方で「170+ contributor」「Anthropicハッカソン受賞」は一次ソースでの裏取りができておらず、README記載のnpmコマンドをそのまま実行すると失敗するという実用上の落とし穴もある。個人メンテナ主体で急成長中のOSSという前提を踏まえたうえで、Claude Code環境での導入を検討するのが現実的だ。同名の「Everything Claude Code」とは完全な別物である点だけは、導入前に必ず確認してほしい。

参照ソース

affaan-m/ECC(公式リポジトリ・README) — star/fork数・機能一覧・対応ハーネス・LICENSE原文を確認
ECC 2.0.0 — The Agent Harness Operating System release(公式Discussion) — メジャーリリースの経緯を確認
ECC CHANGELOG.md — バージョン履歴と最古の記録日(v1.8.0・2026-03-04)を確認
ecc-universal(npm) — npm公開版の最新バージョン(2.2.1)を確認