TokenEconomizer は、コーディングエージェントのトークンコストを下げる OSS プラグインです。エージェント本体(モデル・重み・コード)を一切変えず、同じリポジトリで過去に走ったセッションの経験から学んで、あとに続くセッションの無駄を削ります。Microsoft Research と UC Berkeley(Microsoft Security も参加)の研究成果で、arXiv 2610.22732 として論文が出ており、ライセンスは Apache-2.0。GitHub では star 1.2k(2026-10-30 時点の実測)です。対応エージェントは Claude Code・Codex・GitHub Copilot CLI・Pi(opencode は実験的対応)。当サイトは特定のエージェントを推奨する立場を取りません。
コーディングエージェントは「タスクを終える」ために作られていて、「安く終える」ようには作られていません。毎ターン、エージェントの指示・読み込んだ全ツールの定義・それまでの会話をもう一度払います。同じエージェントで同じリポジトリを何度も使えば、その多くが繰り返しになる——同じ事実の再発見、同じ未使用ツールの送信、同じ失敗ループ。TokenEconomizer はそこに的を絞ります。AI コーディングの土台はVibe Codingとは?AIコーディングの始め方・ツール比較・実践ワークフロー2026に、文脈設計そのものはコンテキストエンジニアリングとは|AIコーディングの文脈設計にまとめています。この記事は、仕組み・効果・使い方を、リポジトリと論文の実測で整理します。
THREE MECHANISMS3つの機構
過去セッションの経験で、無駄を削る
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1
micro-skills:リポジトリの事実を覚える
python -m pytest / npx tsc など、ここで通るコマンドを学習。3セッション確認で冒頭に出し、矛盾したら落とす
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2
tool pruning:使わないツール定義を外す
全ツール定義は毎リクエストに乗る。一定回数/セッション使われないツールをエージェントの設定で外す(1コマンドで戻せる)
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3
loop guard:失敗ループに介入
同じ失敗を繰り返すターンを判定モデルが確信度0.7以上で検出し、1回だけ軌道修正。止めるのは人
-
原則
エージェント本体は変えない
モデル・重み・コードは不変。学習は手元(~/.tokeneconomizer)に残り、機構の呼び出しコストも計測に含める
30秒でわかる
- ・エージェント本体を変えず、リポジトリの過去セッションから学んでトークンの無駄を削る OSS プラグイン(Microsoft/UC Berkeley・Apache-2.0・star 1.2k)。
- ・3機構:micro-skills(リポの事実を覚える)・tool pruning(未使用ツールを外す)・loop guard(失敗ループを軌道修正)。
- ・論文の測定では SWE-Bench で平均 18.4〜30.9% コスト減、30/30 セルで安く、Pass@1 は4/5で上昇(著者ベンチ・追試は別途)。
- ・対応は Claude Code・Codex・Copilot CLI・Pi。Python 3.10+ だけで動き、依存ゼロ・API キー不要・学習は
~/.tokeneconomizerに手元保存。
3つの機構:覚える・外す・止める
TokenEconomizer の中身は、繰り返し払う3種類の無駄に1対1で対応します。
WASTE VS FIX無駄と対応
毎セッション払う無駄を、機構ごとに削る
くり返す無駄
機構
くり返す無駄: 同じリポの事実を毎回再発見する
機構: micro-skills が冒頭に注入する
くり返す無駄: 使わないツールの定義を毎リクエスト送る
機構: tool pruning が設定から外す
くり返す無駄: 同じ失敗ループでトークンを溶かす
機構: loop guard が軌道修正する
- micro-skills(リポジトリの事実を覚える):セッションは同じ事実を何度も再発見します——先に走らせるべきビルド手順、ここで通るコマンドの綴り(
pytestが無くpython -m pytest、tscが無くnpx tsc)、コマンドが要る環境変数、生成物の置き場所。micro-skills はこうした事実を、繰り返す失敗と、数セッションごと(既定3)にレビューするモデルの提案から学び、3セッションで確認が取れた事実だけを各セッションの冒頭に出します。あとのセッションが否定したら落とします。 - tool pruning(使わないツールを外す):読み込んだツールの定義は、毎リクエストにすべて送られます。一定のプロンプト数(既定10)かセッション数(既定5)使われないツールを、エージェント自身の設定から外して次のセッションに持ち越しません。1コマンドで戻せます。
- loop guard(失敗ループへの介入):あるターン(1プロンプトへの作業)が同じ失敗を繰り返すと、判定モデルが「詰まっているか」を見ます。確信度が既定0.7以上なら、別のやり方を促す短い注記を文脈に足して軌道修正します(1ターンに既定1回)。それでも詰まったままなら、止め方を知らせるだけで、ターンを止めるのは人の判断です。
設計の芯は4つ。エージェントが既に読むもの(冒頭の文脈とエージェントの設定)だけで働く/コストはキャッシュ価格で、プラグイン自身のモデル呼び出しも含めて数える/事実は繰り返しの証拠からのみ作りツールは未使用になってから外す(タスク成功を守る)/すべての操作は元に戻せる。
どれくらい安くなるか:論文の測定
論文(著者ら)は、同じ SWE-Bench の277タスク(6リポジトリ)を5つのエージェント×モデルの組み合わせで走らせ、コストを測っています。全体で平均18.4〜30.9%減、30の(リポジトリ×組み合わせ)セルすべてで既定より安く、Pass@1 は5つ中4つで上昇。組み合わせごとの数値は次のとおりです。
| エージェント × モデル | 平均コスト | Pass@1 |
|---|---|---|
| Claude Code × Sonnet 5 | −23.6% | +1.3 |
| Claude Code × Opus 4.8 | −30.9% | −1.0 |
| Codex × GPT-5.6 Terra | −24.7% | +0.9 |
| Codex × GPT-5.6 Sol | −26.1% | +1.6 |
| Copilot CLI × Sonnet 5 | −18.4% | +2.6 |
Web-Bench でも16〜21%低下、タスクごとに新しいリポジトリになるセキュリティ監査ベンチでも6〜20%低下、としています。これは著者らのベンチマーク測定で、第三者による追試を当サイトで行ったわけではありません。ただし experiments/ に SWE-Bench・Web-Bench を再実行するハーネスが同梱されており、再現を試せる形にはなっています(実行には Docker・各エージェントの CLI・API キー・ベンチの image が要ります)。実際の削減幅は、リポジトリ・エージェント・使い方で変わります。
使い方と位置づけ:clone して動く、まだ 0.1.0
導入は、使いたいリポジトリの近くにこの repo を clone し、各エージェントの手順でプラグインとして読み込むだけです。プラグイン自身は API キーを持たず資格情報を扱いません。判定や軌道修正のモデル呼び出しは、あなたの自前のエージェント(同じプラン・ログイン)を通して行われ、そのコストも計測に含まれます。覚えた事実は ~/.tokeneconomizer に手元保存され、外に出ません。
WHAT YOU NEED使うには
clone して動く。API キー不要・依存ゼロ
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1.対応エージェント
Claude Code・Codex・GitHub Copilot CLI・Pi(opencode は実験的)。特定のエージェントを推奨する意図はない
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2.要件は Python 3.10+ だけ
依存ゼロ(標準ライブラリのみ)。プラグイン自身は API キーを持たず、資格情報を扱わない。モデル呼び出しは自前エージェント経由
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3.失敗しても無害
一部が失敗してもセッションは素通しで続く。各機構は個別に on/off でき、外した判断はすべて元に戻せる
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4.学習は手元に残る
覚えた事実は ~/.tokeneconomizer に保存。コストはキャッシュ価格で、機構自身のモデル呼び出しも含めて報告
冷静に見るべき点もあります。まず v0.1.0 と初期段階で、挙動を観察しながら入れるのが無難です。次に、本記事はリポジトリ・README・論文の記述の実測に基づいており(star 1.2k・Apache-2.0・依存ゼロ・著者は Aaron J. Li ら UC Berkeley / Microsoft Research)、実際にエージェントへ組み込んで削減幅を再現する検証は行っていません。効果は「使い慣れたリポジトリで同じエージェントを繰り返し使う」状況ほど出やすく、毎回新しいリポジトリを触る使い方では経験が貯まらないぶん効きにくい、という性質も読み取れます。コーディングエージェントを束ねる側の視点ではAiderとは?ターミナルAIペアプロの使い方と現在地も参考になります。
導入前に確かめたいこと
- ・v0.1.0。各機構は on/off でき、外した判断は元に戻せる。まず一部の機構だけで様子を見る。
- ・削減幅は著者ベンチの値。自分のリポジトリ・エージェント・使い方で測り直す(
experiments/のハーネスが再現用)。 - ・機構のモデル呼び出しにもコストがかかる。レポートはそれ込みで数えるので、総額で判断する。
まとめ
この記事の結論
- ・TokenEconomizer は、エージェント本体を変えずにリポジトリの過去セッションから学び、micro-skills・tool pruning・loop guard の3機構でトークンの無駄を削る OSS(Microsoft/UC Berkeley・Apache-2.0)。
- ・論文の測定では SWE-Bench で平均18.4〜30.9%減・30/30セルで安く・Pass@1 4/5で上昇。著者ベンチなので自分の環境で測り直す。
- ・対応は Claude Code・Codex・Copilot CLI・Pi。Python 3.10+ だけ・依存ゼロ・API キー不要・学習は手元保存。
- ・v0.1.0 と初期段階。機構を個別に on/off でき、すべて元に戻せる。実行検証は本記事では未実施(リポジトリ・論文ベース)。
参照ソース
- microsoft/TokenEconomizer(GitHub・README / experiments / plugin)(star 1.2k・Apache-2.0・依存ゼロ・2026-10-30 実測)
- TokenEconomizer: Experience-Driven Black-Box Cost Control for Coding Agents(arXiv 2610.22732)(SWE-Bench の測定・3機構の定義。著者ベンチ)





