Claude Code Web(Claude Code on the web)は、ブラウザ上の claude.ai/code からクラウドVMでタスクを走らせる機能です。ターミナルを閉じてもセッションが残り、スマホからも進捗を見られます。本記事ではローカルの Claude Code CLI v2.1.241 で --cloud と --teleport が実在することを確認したうえで、ターミナルとの受け渡しが一方向であること、GitHubなしで動かす条件、そしてIP許可リストを使う組織では全滅するという落とし穴までを公式ドキュメントと突き合わせて整理します。
30秒でわかる Claude Code Web
・claude.ai/code のクラウドVMでタスクを実行。実測時点でリサーチプレビュー(Pro / Max / Team / Enterprise の一部)
・ローカルCLI v2.1.241 で --cloud --teleport --environment の存在を確認(--remote は --cloud の非推奨エイリアス)
・受け渡しはCLIから一方向。クラウド→ターミナルは --teleport で可能、ターミナル→Webは不可
・GitHubなしでも動く。ローカルリポジトリをバンドル送信(100MB未満・1コミット以上・未追跡ファイルは対象外)
・IP許可リストを使う組織はAnthropicホストのセッションが全滅する。除外申請か自社ホスト環境が必要
・クラウドVMに別料金はないが、レート制限はアカウント全体で共有
Claude Code 本体のインストールや設定はClaude Code|2026年版・インストールからCLAUDE.md・Hooks・本番運用までの実装手引きにまとめてあります。本記事はそれを「ブラウザとクラウドVMで動かす」話です。
Claude Code Webとは——クラウドVMで動く非同期のClaude Code
Claude Code Web は、Anthropic が管理するクラウドインフラ上でタスクを実行する仕組みです。組織が自社ホスト環境へルーティングしている場合は、そちらで実行されます。
公式ドキュメントの位置づけはこうです。
Claude Code on the web is in research preview for Pro, Max, and Team users, and for Enterprise users with premium seats or Chat + Claude Code seats.
リサーチプレビューであること、対象プランが限定されていることが明記されています。
ローカルのターミナルで動かす Claude Code との一番の違いは、セッションがあなたのマシンに依存しないことです。ブラウザを閉じてもセッションは走り続け、Claude モバイルアプリから進捗を見たり指示を出したりできます。
この非同期性が何を変えるかというと、待ち時間の扱いです。ローカルのターミナルでClaude Codeを回している間、その端末は基本的に占有されます。テストの実行やビルドを含む長いタスクだと、終わるまで別の作業に移りにくい。クラウドセッションはそこを切り離すので、「重いリファクタは投げておいて、手元では別のことをする」という組み方ができます。並列に複数投げられるのも同じ理由で効きます。
一方で、手元の環境に依存する作業には向きません。 クラウドVMがcloneするのはGitHubリモートの内容なので、ローカルにしかない設定ファイルや、未pushのコミット、ローカルで動いているデータベースには触れません。この線引きが、後述する「何ができて何ができないか」のほぼすべてを決めています。
何が「クラウド環境」を決めるのか
すべてのクラウドセッションは cloud environment(クラウド環境)という保存済み設定の上で動きます。この設定が制御するのは3つです。
・ネットワークアクセス
・環境変数
・セットアップスクリプト
環境がまだ無い場合、オンボーディングが Trusted network access を持つ Default 環境を用意します。この環境定義は、Web・ターミナル・Claude Tag・routines・モバイル/デスクトップアプリのどこからクラウドセッションを開始しても共通で適用されます。
ローカルCLIで実測——--cloud と --teleport は本当にあるか
公式ドキュメントの記述を、手元の Claude Code CLI で確認しました。バージョンは 2.1.241 です。
claude --version
# 2.1.241 (Claude Code)
claude --help | grep -E "cloud|teleport|environment"
出力で確認できたのは次の4つです。
| フラグ / コマンド | --help の説明(原文要旨) |
|---|---|
--cloud [description\|session_id\|url] |
説明文を渡すとクラウドセッションを新規作成、セッションIDまたは claude.ai/code のURLを渡すと既存セッションに接続 |
--teleport [session] |
テレポートセッションを再開。セッションIDの指定も可能 |
--environment <environment_id> |
指定した自社ホスト環境(ccpool_...)で新規クラウドセッションを作成 |
ultrareview [options] [target] |
現在のブランチ(またはPR番号/ベースブランチ)に対するクラウドホストのマルチエージェントコードレビューを実行 |
ドキュメントの記述とCLIの実装は一致していました。 --remote という古い綴りも --cloud の非推奨エイリアスとして残っていると公式は記載しています。
【重要】ターミナルとの受け渡しは一方向
ここが最も誤解されやすい点です。公式ドキュメントは明確にこう書いています。
From the CLI, session handoff is one-way: you can pull cloud sessions into your terminal with
--teleport, but you can’t push an existing terminal session to the web.
CLIからの受け渡しは一方向です。整理すると次のようになります。
| やりたいこと | CLIでできるか |
|---|---|
| クラウドセッションをターミナルに引き込む | できる(--teleport) |
| いま話しているターミナルセッションをWebへ送る | できない |
| ターミナルから新しいクラウドセッションを作る | できる(--cloud "タスク説明") |
| 既存のクラウドセッションにメッセージを送る | できる(-p "..." --cloud <session-id>) |
--cloud "タスク説明" は「新規作成」であって「持ち出し」ではありません。 いま手元で積み上げた会話のコンテキストは引き継がれません。
流れを図にすると、非対称がはっきりします。
手元の会話は引き継がれない" W->>W: "GitHubリモートをclone(ローカルではない)" T->>W: "claude -p "追記" --cloud
以降ターミナル側の作業はWebに戻らない" T--xW: "既存のターミナルセッションをWebへ送る" Note over T,W: "CLIからは不可(デスクトップアプリのみ・未検証)" </div> なお公式は、デスクトップアプリには **Continue in** メニューがあり、そこからローカルセッションをWebへ送れると記載しています。**この動作は本記事では未検証です。** ### ターミナル → Web(新規作成) ```bash claude --cloud "Fix the authentication bug in src/auth/login.ts" ``` ここで重要な注意があります。クラウドVMがcloneするのは、**カレントディレクトリのGitHubリモートの現在のブランチ**であって、ローカルのチェックアウトではありません。**ローカルにコミットがあるなら先にpushしてください。** `--cloud` は一度に1リポジトリだけを扱います。 公式が勧める組み合わせは「ローカルで計画、クラウドで実行」です。 ```bash claude --permission-mode plan ``` プランモードでファイルを読み、方針を固め、計画をリポジトリにコミットしてpushしてから、クラウドへ投げます。 複数タスクを並列に走らせることもできます。`--cloud` は1回ごとに独立したセッションを作るので、そのまま並べれば同時に走ります。進捗は CLI の `/tasks` で確認します。 ### Web → ターミナル(テレポート) 引き込む方法は5つあります。 ・`claude --teleport`(対話的なセッション選択)/`claude --teleport
・CLIセッション内で `/teleport` または `/tp`
・`/tasks` を開いて `t` キー
・Web画面のセッションメニューから **Open in > Terminal**
・クラウドセッション内で `/teleport` と打つと、実行すべきコマンドを返してくれる(セッション環境の Claude Code が v2.1.223 以降であること) テレポート時、Claude はリポジトリの一致を検証し、クラウドセッションのブランチを fetch して checkout し、会話履歴をターミナルに読み込みます。 **ここも誤解しやすい点があります。** テレポート後のターミナルは**そのセッションのコピー**を持ちます。ターミナル側で進めた新しい作業は、claude.ai やモバイルアプリ側のクラウドセッションには**反映されません**。スマホから引き続き操作したいなら、ローカルセッションで `/remote-control` を起動する必要があります。 セッションを機械をまたいで引き継ぐという発想自体は、OSS側にも先行例があります。[happier徹底解説:Claude CodeやCodexのセッションをリモートで引き継ぐE2E暗号化クライアント](/tool/happier-coding-agent-client/)は同じ課題をエンドツーエンド暗号化で解いており、公式のクラウドセッションとは信頼モデルが異なります。自社のコードをAnthropic管理のVMに置けない事情がある場合の比較対象になります。 `--teleport` と `--resume` も別物です。`--resume` はそのマシンのローカル履歴を開くだけでクラウドセッションは一覧に出ません。 ### テレポートの4条件 公式が挙げる前提条件は4つです。1つでも欠けるとエラーか確認プロンプトになります。 | 条件 | 内容 | |---|---| | クリーンなgit状態 | 未コミット変更があると stash を促される | | 正しいリポジトリ | 同一リポジトリのチェックアウトから実行すること。**forkは不可** | | ブランチがpush済み | クラウドセッションのブランチがリモートに存在すること | | 同一アカウント | クラウドセッションと同じ claude.ai アカウントで認証されていること | `--teleport` が使えない場合、原因はたいてい認証です。**APIキー認証では使えません**——`/login` で claude.ai アカウントにサインインし直す必要があります。 ## GitHubを使わずにクラウドセッションへ送る GitHubに接続されていないリポジトリで `claude --cloud` を実行すると、Claude Code は**ローカルリポジトリをバンドルしてアップロード**します。GitLab や Bitbucket を使っている場合の逃げ道になります。 バンドルには**全ブランチの履歴**と、**追跡済みファイルの未コミット変更**が含まれます。GitHub接続済みでも強制できます。 ```bash CCR_FORCE_BUNDLE=1 claude --cloud "Run the test suite and fix any failures" ``` ただし制約が4つあります。 ・**gitリポジトリで、最低1コミットが必要**
・**バンドルは100MB未満**。超えると現在のブランチのみ→作業ツリーの単一スカッシュスナップショット、と段階的に縮小し、それでも大きければ失敗する
・**未追跡ファイルは含まれない**。クラウドに見せたいファイルは `git add` しておくこと
・**バンドル由来のセッションはリモートにpushできない**(別途GitHub認証を構成していない限り) 最後の制約が実務では効きます。**GitLab のリポジトリを送って直せても、結果を GitLab に戻すのはクラウドセッションからはできません。**
・ローカルCLI **v2.1.241 で `--cloud` / `--teleport` / `--environment` / `ultrareview` の存在を確認**。ドキュメントと実装は一致
・**CLIからの受け渡しは一方向**。`--teleport` でクラウド→ターミナルは可能、ターミナル→Webは不可。`--cloud` は新規作成であって持ち出しではない
・テレポート後のターミナルは**セッションのコピー**。以降の作業はWeb側に反映されない
・**GitHubなしでもバンドル送信で動く**が、100MB未満・1コミット以上・未追跡ファイル除外・**push不可**の制約つき
・**IP許可リストを使う組織はAnthropicホストのセッションが全滅**する。除外申請か自社ホスト環境が必要
・**Auto-fix はあなたのアカウントでPRに返信する**。`issue_comment` で動く自動化があるリポジトリでは有効化しない 「ブラウザで動くClaude Code」と一言で言っても、実際には**どこでcloneされ、誰の資格情報で認証され、結果をどこへ戻せるのか**がすべて別々に決まります。導入前に自分の環境でその3つを確認しておくと、後から詰まりません。 ## 参照ソース - [Use Claude Code on the web](https://code.claude.com/docs/en/claude-code-on-the-web) — Anthropic公式。`--cloud` / `--teleport` の仕様、バンドル送信の制約、Auto-fix の警告、Limitations(2026-08-27 参照) - [Claude Code Docs — Overview](https://code.claude.com/docs/en/overview) — 製品全体の位置づけ(2026-08-27 参照) - Claude Code CLI `--help` 出力(**v2.1.241**・ローカル実測) — `--cloud` / `--teleport` / `--environment` / `ultrareview` の存在とヘルプ文言(2026-08-27 実測)