Jev対応OSSが、モデル公開から4日で11本そろった。Jevは文章を返さず、型つきの判定と確率だけを返すモデルで、11本はそれを「どこに差し込むか」にそれぞれ答えている。本記事は全件を git clone --depth 1 して star・ライセンス・最終コミットを実測し、Linux 上で7本をインストールから起動確認まで通した結果をまとめる。Jev本体の仕組みはJevとは|文章を返さないSystem Oneモデルの正体を公式SDKのコードで実測し、Claude Codeで試すで扱ったので、ここでは「その上で何が作られたか」に絞る。
- ・正体:TypeSafe AI の System Oneモデル Jev(判定と確率だけを返すホスト型API)を呼ぶ、有志と企業のオープンソース11本。
- ・何ができる:MCP経由で Claude Code/Codex から判定を取る、シェルで意味判定する、ブラウザの次の操作を決める、重いモデルの前段でモデル選択・文脈選別・事前レビューを済ませる。
- ・実測できたこと:11本すべての clone・LICENSE・最終コミット、star。7本は起動確認まで到達(ヘルプ表示・ローカルUIの応答・単体テストまで。Jevの実応答は含まない)。
- ・未検証:Jevの実応答を含む挙動。macOS専用の jev-desktop と jev-codex-router も未検証。
- ・注意:9本がMIT、agent-desktop は Apache-2.0、blink はライセンス未記載。全員が「early」「MVP」「experiment」のいずれかを自己申告している。
LLMそのものの仕組みはLLMとは?仕組み・主要モデル比較・ローカル実行・量子化を一気にまとめる2026年版にまとめてある。Jevは「LLMの構造化出力に投げていた判定処理」を置き換える位置にあるので、先にそちらを読むと11本が何を省いているかが見えやすい。
Jev対応OSS 11本を一覧にする——star・ライセンス・到達点
star は 2026-09-19 にGitHubのリポジトリページで読んだ値、最終コミットは git clone --depth 1 で取った既定ブランチの最新コミット日、ライセンスはバッジでなく実体ファイルを読んだ結果である。検証環境は Linux x86_64(Python 3.12・Node 22.22.2・Bun 1.3.14・Go 1.24.7・Rust stable)。
| # | リポジトリ | 層 | star | ライセンス | 最終コミット | 当記事の到達点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | browser-use/jev-ultrafast | 操作 | 5.4k | MIT | 09-18 | uv sync → ローカルUIが HTTP 200 |
| 2 | itsmostafa/typesafe-mcp | 接続 | 67 | MIT | 09-18 | go install → v0.4.1・tools/list 応答 |
| 3 | jkudish/jev-mcp | 接続 | 72 | MIT | 09-18 | npx → 0.4.0・4ツール確認 |
| 4 | sharziki/semdecide | CLI | 5 | MIT | 09-16 | 0.2.1・終了コード4を確認 |
| 5 | 0xNatoshi/jev-codex-router | コーディング | 41 | MIT | 09-17 | macOS+Codex Router 前提のため未検証 |
| 6 | GhalebDweikat/winnow | コーディング | 17 | MIT | 09-17 | hooks.json と sidecar の構成を読んだのみ |
| 7 | devagrawal09/jev-review | コーディング | 264 | MIT | 09-17 | npm install 成功・Node 24 要件で実行は未検証 |
| 8 | ellipsis-dev/blink | コーディング | 17 | 未記載 | 09-16 | bun install → 起動まで(API応答は未検証) |
| 9 | jexp/neo4jev | 探索 | 17 | MIT | 09-18 | 単体テスト161件パス(11件スキップ) |
| 10 | lahfir/agent-desktop(jev-desktop) | 操作 | 1.3k | Apache-2.0 | 09-17 | macOS 専用のため未検証 |
| 11 | markjaquith/typesafe-ai-playground | CLI | 1 | MIT | 09-18 | cargo build --release → ヘルプ表示 |
表から読めることは3つある。
・star の分布が極端:5.4k の jev-ultrafast と 1.3k の agent-desktop は既存プロダクトの名を借りている。Jev のために生まれた9本は最大でも264(jev-review)で、5本は20未満
・11本中10本が過去3日以内に更新されている。公開直後の熱量であり、来月も同じ状態とは限らない
・ライセンスは1本だけ要注意:blink には LICENSE ファイルが無く、package.json は "private": true で license 項目も無い。再利用は避けたほうが安全
タグを切っているのは typesafe-mcp(v0.4.1)・jev-mcp(v0.4.0)・semdecide(v0.2.1)・agent-desktop(v0.9.2)の4本だけで、残り7本は main の最新コミットが「バージョン」である。固定したいならコミットハッシュで留めるしかない。
Jev MCP の2本:typesafe-mcp と jev-mcp——Claude Code から Jev を呼ぶ
Claude Code や Codex からJevを呼ぶ最短経路は MCP サーバで、同じ目的の2本が設計で真逆に分かれている。
typesafe-mcp(itsmostafa) は Go の単一バイナリで、公開ツールは evaluate の1つだけ。state(判断材料)と questions(choice/noul/score の型つき質問)をそのまま Jev に渡し、確率つきの答えを返す。薄いが自由度は高い。jev-mcp(jkudish) は用途ごとにツールを切り、公開版は jev_verify・jev_screen・jev_find・jev_classify の4本。READMEにはさらに jev_decide・jev_rerank・jev_compare・jev_extract が載っているが、ここで実測と公称がずれた。
実測メモ:jev-mcp の公開ツール数:npx -y @jkudish/jev-mcp(npm 0.4.0)を stdio で起動して tools/list を送ると、返るのは上の4本。main の src/index.ts には registerTool が8回あり、CHANGELOG では jev_decide と jev_rerank が「Unreleased」節にある。READMEは main の姿を書いているので、npm 経由では4本しか使えない。
導入は次の3行で足りる。typesafe-mcp の公式手順は install.sh を curl | sh する形だが、ここでは go install で入れた(evaluate --version は v0.4.1)。Claude Code 2.1.277 で実行し、evaluate setup mcp は Claude Code を検出して登録、claude mcp list で両サーバとも Connected になった。
# typesafe-mcp:Go があれば go install
go install github.com/itsmostafa/typesafe-mcp/cmd/evaluate@latest
TYPESAFE_API_KEY=your-key evaluate setup mcp # Claude Code / Claude Desktop / Codex に一括登録
# jev-mcp:Node 20+ があれば npx だけ
claude mcp add jev -- npx -y @jkudish/jev-mcp
どちらも TYPESAFE_API_KEY の代わりに OPENROUTER_API_KEY を受け付け、ウェイトリスト待ちの間は OpenRouter 経由で試せる。
CALL FLOWMCP経由の呼び出し
Jev対応OSSは、判定を取って分岐はコードに任せる
-
エージェント
Claude Code/Codex
-
MCPツール
evaluate/jev_verify
-
Jev API
state+型つき質問
-
確率つき判定
閾値以上ならコード側で実行、未満は重いモデルか人へ
jev-mcp のREADMEは「型つき出力が保証するのはインターフェースであって真実ではない」と明記する。閾値(auto_accept と block_at)は初期値で、自分のデータで調整する前提だ。
操作層:jev-ultrafast と jev-desktop——1往復2判断でブラウザを動かす
最も話題になったのは jev-ultrafast(Browser Use) で、READMEの1行目は「Zürich → London を Google Flights で 7.1 秒」。docs/performance.md まで読むと中身はこうなる。
・比較は6回の交互実行・1タスク・既存Chromeプロファイルで、旧ランタイムと新ランタイムを3組ずつ
・中央値は 9.450秒 → 7.092秒(25.0%短縮)、ブラウザプロトコル呼び出しは 1,092 → 101
・作者自身が「3組は統計的主張には少なすぎる(符号検定 p = 0.25)」と書いている
・収録動画では Jev のレイテンシ中央値が178ms
仕組みは「観測→Jevに2問→実行→再観測」のループで、operation(CLICK/TYPE_TEXT/SELECT/SCROLL/WAIT/DONE/BLOCKED)と対応する target を同じ1リクエストで聞くのが要点。同じ設計を macOS のアクセシビリティツリーに移したのが agent-desktop の jev-desktop スキルで、ゴールを渡して完了まで回す run.mjs と、1手だけ解決する act.mjs を持つ。DONE は Jev の選択にすぎず、完了の証拠にならないと両READMEが明記している。
jev-ultrafast は次の手順でローカルUI(http://127.0.0.1:8766)が HTTP 200 で立ち上がるところまで確認した。デモの実行は未検証である。
# Python 3.12 と uv が前提。.env に TYPESAFE_API_KEY と TEXT_MODEL_API_KEY を書く
git clone --depth 1 https://github.com/browser-use/jev-ultrafast.git && cd jev-ultrafast
uv sync && cp .env.example .env
uv run jev # http://127.0.0.1:8766 を開き Start demo → Run automatically
READMEの制限として、shadow DOM・iframe・canvas・ファイルアップロード・ポップアップタブ・入れ子スクロールは MVP の対象外。jev-desktop は macOS 13 以上専用で、Windows と Linux は計画中だ。
コーディング・CLI・探索層のJev対応OSS——重いモデルの前段に置く
Jev Codex Router(0xNatoshi) は Codex のターンごとに難易度を判定し、機械的な作業は最安モデル、難問だけ最上位に回す。BACKTEST.md では7日分・237ターンのリプレイで基準871ドルが349ドル(−59.9%)。内訳は最安61・中位165・最上位11ターンだ。興味深いのは校正の失敗談で、最初の「迷ったら最上位へ」は約3分の2のターンが「迷い」に当たり、削減は−11.9%止まり。「迷ったら中位へ」に変えて初めて−59.9%になった。macOS・Codex デスクトップ・ローカルの Codex Router が必要で、Claude Code 側で同じことをするならJevとはで扱った jev-router が対応する。
SELF-REPORTEDCodex Router の自己申告値
校正を変えただけで、削減は−11.9%から−59.9%へ
−59.9%
迷ったら中位へ(採用方針)
871ドル → 349ドル
−11.9%
迷ったら最上位へ(初期方針)
約3分の2のターンが「迷い」
0.6秒
判定1回あたり
約0.00003ドル
Winnow(GhalebDweikat) は Claude Code のプラグインで、Read・Bash・Grep の長い出力を約25行のブロックに割り、「今のタスクに必要か」を Jev に聞いてから文脈に入れる。確信をもって不要とされたブロックは3行のスタブになり、winnow_recall で呼び戻せる。前提は Claude Code 2.1.121 以上で、Jev が使えない間のために Claude Haiku 4.5 へ送るアダプタが同梱されている。Jev Review(devagrawal09) は差分に対し、リスク行列→ファイルプロファイル→深刻度→重いレビュアーへの条件付きルーティングと段階的に Jev を呼び、結果をローカルダッシュボードに出す。READMEは「発見は手がかりであって欠陥の証明ではない」と率直だ。Blink(ellipsis-dev) は複数の walker がファイルシステムを降り、各階層で Jev がファイル名をスコアリングする。ライセンスが無いので参考実装として読む以外は避けたい。
SemDecide(sharziki) は Jev を Unix コマンドにしたもので、is・choose・score・filter・guard の5コマンドがあり、終了コードが定義されているのが CI 向けの差だ。
| 終了コード | 意味 |
|---|---|
| 0 | 真・選択済み・スコア済み・フィルタに確定一致あり |
| 1 | 偽、またはフィルタ一致なし |
| 2 | ローカル入力かコマンドの使い方が不正 |
| 3 | 設定したマージンや確信度の下限を満たさない「不確実」 |
| 4 | プロバイダ・認証・タイムアウト・不正応答の失敗 |
「不確実(3)」と「失敗(4)」が分かれているので、「迷ったら人へ」「落ちたら再試行」を if で書き分けられる。uv tool install で 0.2.1 を入れ、ダミーの鍵で次を流すと provider error と出て終了コードは 4 だった。READMEは「認可システムでもサンドボックスでもない。金銭・資格情報・本番基盤の周りには決定論的な権限チェックを残せ」と書く。
echo "Thanks, see you tomorrow" | TYPESAFE_API_KEY=your-key semdecide is "a farewell message"
echo "exit=$?"
残り2本は設計の参考になる。typesafe-ai-playground(markjaquith) は Rust の実験CLIで、HIPAA の PHI 検知やコメント採点など6サブコマンドを持ち、cargo build --release で typesafe-ai 0.1.0 のヘルプまで確認した。Choice の上限255択を再帰で回避する書き方は他でも使える。neo4jev(jexp) は Neo4j のグラフを1ホップずつ辿り、出ていく関係を Choice として Jev に見せ、確率をビームサーチで積み上げる。uv run pytest で 161件パス・11件スキップ(スキップは API とライブDBを要する結合テスト)。発想はLightRAG とは|知識グラフ×デュアルレベル検索の仕組みとストレージ選定に近く、経路を生成させず「次の1歩」だけ選ばせる点が違う。
Jev対応OSSの選び方——LLMに全部投げる構成との違い
11本に共通するのは、LLM を置き換えるのでなく「LLM を呼ぶかどうかを Jev に決めさせる」構成だ。Codex Router はモデルの階層を、Winnow は文脈に入れるブロックを、Jev Review は重いレビュアーに回す差分を絞る。
| 観点 | LLM の構造化出力に判定を投げる | Jev+コード(11本の共通パターン) |
|---|---|---|
| 返ってくるもの | JSON文字列(壊れれば再試行) | 型に閉じた選択肢と確率 |
| 不確実さの扱い | プロンプトで自信度を頼む | 確率が一次出力。閾値はコード側 |
| 1判断のコスト | モデル次第。出力トークンにも課金 | 公称 入力100万トークン0.042ドル・出力無料 |
| レイテンシ | 数百ms〜数秒 | 作者計測で178ms〜0.6秒 |
| 向く仕事 | 要約・生成・説明 | 分類・ルーティング・スコア・可否・次の1手 |
| いま試せるか | すぐ | ウェイトリスト、または OpenRouter 経由 |
WHICH ONE用途別の最初の1本
やりたいことで、最初に見る1本が決まる
やりたいこと
最初に見る1本
やりたいこと: Claude Code から接続だけ先に
最初に見る1本: jev-mcp(用途別4ツール・npx)
やりたいこと: CI やスクリプトに入れる
最初に見る1本: SemDecide(終了コードの契約あり)
やりたいこと: Claude Code の文脈を減らす
最初に見る1本: Winnow(Haiku 4.5 アダプタ同梱)
やりたいこと: ブラウザ操作を試す
最初に見る1本: jev-ultrafast(MVP・対象は限定的)
評価器として LLM を組み込む構成はOctoBotのAI機能徹底解説|LLM(ChatGPT/Ollama)を“評価器”として組み込む仕組み【OSS】で扱ったように以前からある。Jev系が違うのは、出力が最初から確率で、閾値の置き場所がコードの責任として明示される点だ。ラベル付きの過去ログが無いと、どれも「初期値のまま」の運用になる。Winnow と jev-mcp が閾値を「出発点」と呼び、Codex Router が校正の失敗を BACKTEST.md に残すのは、そこが本当の作業だからだ。
実測の範囲も改めて書く。Jev の実応答を伴う検証はゼロで、各ツールの判定の質は何も言えない。macOS 前提の jev-desktop と jev-codex-router、Claude Code プラグインとしての Winnow、Node 24 を要する jev-review の実行も未検証である。
参照ソース
・browser-use/jev-ultrafast(README・docs/performance.md、MIT)
・itsmostafa/typesafe-mcp(README・v0.4.0 リリースノート、MIT)
・jkudish/jev-mcp(README・CHANGELOG・src/index.ts、MIT)
・sharziki/semdecide(README「Exit codes」、MIT)
・0xNatoshi/jev-codex-router(README・BACKTEST.md、MIT)
・GhalebDweikat/winnow(README・hooks/hooks.json、MIT)
・devagrawal09/jev-review(README・package.json、MIT)
・ellipsis-dev/blink(README・package.json、ライセンス未記載)
・jexp/neo4jev(README、MIT)
・lahfir/agent-desktop(README・skills/jev-desktop/SKILL.md、Apache-2.0)
・markjaquith/typesafe-ai-playground(README、MIT)
・Introducing System One Models and Jev(TypeSafe AI 公式ブログ)





